『叛旗 小説李自成』 下巻 姚雪垠

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叛旗 小説李自成〈下〉 (徳間文庫)叛旗 小説李自成〈下〉 (徳間文庫)
(1992/09)
姚 雪垠

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かろうじて生き延びていた李自成の夫人高桂英は、商洛山に落ちた夫を助けるべく、官兵の拠点である潼関に命がけの陽動を仕掛けた。この働きによって敵の戦力は二分され、李自成たちは一息つく。一方、清との戦いに身命を賭す忠臣・盧象昇は、宦官の上司やライバルによって兵力を削られ、壮絶な戦死を遂げた。代わって流賊と戦っていた名将・洪承躊が対清戦に回るが、その隙に投降していた張献忠が反乱を起こすのだった

三国志以来の大長編小説といわれる『李自成』の下巻だ
『叛旗』は李自成が再起するところで終わるが、もちろんこれで終わりなわけではない。日本語訳が第1巻の『叛旗』しか出ていないだけで、本来はこの上下巻あわせた文量が五巻あるのだ
日本人にはなじみのない舞台設定なので、売り上げの問題から二巻以降が出版されなかったようだが、小説でも出さないと知らないままに終わってしまうので、啓蒙の意味から続けてもらいたかった
精密な考証から見てきたように書かれた描写は目を奪われるし、魅力的な登場人物悲喜こもごものドラマとエンターテイメント性もばっちりだし、なおかつ等身大の人間たちの哀歓がある
中世・近世の軍隊が動くにはこういうことに気を配らなければならないという格好の教本になるので、架空世界の大河小説を志す人も読んでおくべき作品だ

李自成のライバル格として、クローズアップされるのが張献忠
張献忠は李自成らと同時期に反乱を起こしていたが、農民軍の初代頭領(闖王)高迎祥が戦死したときに官軍に投降していた
再度の反乱を狙う彼の周りには、科挙試験を受からなかった者や出世が閉ざされた役人など、いわゆるインテリくずれが集まって、再起に協力する。現体制ではうだつの上がらぬ落ちこぼれ達が人生の一発逆転を賭けて新王朝建設を目指すのだ
この流賊の首領と国策に通じた読書人階級のタッグが、易姓革命の方程式である
しかしインテリたちも幼少の頃から、儒教精神、忠君報国を叩き込まれている存在でもある。歴史意識がある分、永代に逆臣と謗られる危険にためらいがあった
そうした葛藤を象徴するのが、李自成からアプローチを受けた牛金星で、妻に泣かれ迷い迷ったあげくに一日先延ばしにしたせいで、官憲に捕まってしまう
李自成には将来、李厳という軍師(今では講談上の存在といわれる)が加わるようだが、本書までには名前も出てこないので、管理人には確認しようがない…

登場人物たちは、過去の事例を引いて自分たちの行動を根拠づけ、正当化するのだけど、特に引用元に多いのが『三国志』
義兄弟の杯を交わす際には、桃園の誓いに喩えられることはもちろん、通称が“曹操”(ずるがしこい奴という意味)という流賊もいるし、士大夫を勧誘する際には「三顧の礼」が話題に出る
孔孟の書は流賊になる層には縁遠いが、『三国志演義』といった講談に乗って広汎に伝わっているからだろう
並んで有名な『水滸伝』を引かないのは、梁山泊の連中が最後は朝廷に下ったからで、新王朝を建設した劉備が流賊の英雄として相応しい


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