『カラシニコフ』 松本仁一

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カラシニコフカラシニコフ
(2004/07/16)
松本 仁一

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一億丁も生産され、「小さな大量破壊兵器」とも言われたAK-47“悪魔の銃”は世界をどう変えたかを問う
元は朝日新聞で連載されたコラムで、アフリカの紛争地を取材しながら、銃が社会にいかなる影響を及ぼしたかを追いかけている
朝日発ながら決め付ける論調はなく、著者は事実を丹念に踏まえていく
設計者であるミハイル・カラニシコフ、クーデターを題材にした小説『戦争の犬たち』を著したフレデリック・フォーサイスまで取材し、単に被害者視点ではなく、兵器が生まれる動機、失敗国家がそれを脱しない原因へ迫っていく
ことはこの銃が生み出されなければ良かったというだけで済まない。技術に見合った社会が築かれる前に、兵器の進歩が先走ってしまった悲劇なのであって、技術の進歩が中立的な立場でありえないことを示しているのだ

そもそもAK-47が生み出されたのは、第二次世界大戦の独ソ戦がきっかけで、夏は泥、冬は雪で凍りつくロシアの気候を想定し、かつ未熟な兵士にも扱えるようになんと八つの部品に分けて整備できるように作られた
内部にわざと空間をつけることで驚異的な耐久性を示し、あるアフリカの兵士は数年ほったらかしで問題なく発射できたという
そうした扱いやすさから、アフリカの失敗国家では少年兵の手に渡され、武装勢力も兵力を増やすために村から少年・少女を拉致していくこととなった
本書では、こうして兵士にさせられた少年・少女が数多く登場し、言語絶する経験が語られていく。ロボットアニメの定番である、少年が兵士となって戦うシチュエーションが、失敗国家ではきわめて日常的に、より悲劇的に存在している

なぜアフリカに失敗国家が量産されるのか
まず国境がヨーロッパ人によって恣意的に引かれたものであること。民族分布、文化圏を分断する形となり、国民が生成されないまま一部の軍事勢力によって国家が作られる
冷戦期は特に、東西陣営によって独立が支援され、国連での議席が認められていった。大量のODAが独裁者の懐に転がり、歪んだ失敗国家が生まれた
カラニシコフはODAの代用としても供与され、国によっては兵士の数倍の数が積み上げられた。特に東陣営ではユーゴスラビアが見境なく売りさばき、アメリカが工作でソ連製のカラニシコフを流すこともあったという(ソ連も対抗してアメリカ製M16をばらまいた)

こうした失敗国家を是正し、カラニシコフを回収するにはどうすればよいか
一つは途上国を「失敗国家」と「やる気のある国」に分類し、やる気のある方をよりバックアップすることである。アメリカではクリントン政権時に国家ではなく、途上国支援のNGOを重点を置く方向転換を行った
「やる気のある国」の例として、ソマリランド共和国が挙げられている。兵士から銃を買い上げて社会復帰するプログラムに参加させ、回収した銃は警察と軍隊に集中させるように管理する
普通の国なら当たり前のことだが、元失敗国家ではこれをやるにも一苦労だ。国家としての意志を示すのに、違う部族の長老たちの結束が必要だった
著者はあとがきで戦後の日本人は「武力」から目をそらして「国家」とは何かが見えにくくなっていると指摘する。国家を成立させているのは、警察官がピストルを持つように武力であり、武力なしに国家の権威は保てない
日進月歩の軍事技術に対し、いかに国家が武力をコントロールするか。武器三原則の改訂、集団的安全保障に伴う憲法解釈変更と、本書で語られたことは今の日本に直結する問題なのだ


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