『アフガンの男』 フレデリック・フォーサイス

静かなるアフガン


アフガンの男 上 (角川文庫)アフガンの男 上 (角川文庫)
(2010/07/24)
フレデリック・フォーサイス

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アフガンの男 下 (角川文庫)アフガンの男 下 (角川文庫)
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2006年パキスタン。死亡したアルカイダ幹部のパソコンから、大規模なテロ計画が発覚した。究明に全力あげる米英情報機関は、コーランにある逸話からとった「アル-イスラ」というコードネームしか探れない。そこでアルカイダの構成員に偽装し直に情報を取るという、前代未聞の潜入作戦を立てる。白羽の矢が立ったのは、かつてアフガニスタンでソ連と戦った元特殊部隊将校マーティンで、彼は旧知であるタリバン元司令官イズマートになりすまして……

今回は9・11以後の世界を舞台にして、対テロ作戦の実態を取り上げる
『イコン』『アヴェンジャー』と同じく、上巻で準備して下巻で一気に動き出す構成でとなっているが、エンターテイメントとしては乗りにくい出来だった
上巻では主人公の登場が遅くて印象が薄く、下巻ではほぼ船室で引きこもりという余りに動きがなさ過ぎて、視点キャラとしても辛い。群像劇にしても特に目だった人物がいないから、華がなさすぎる
対テロ作戦のシミュレーションに夢中で、主人公の存在を忘れてしまったのだろうか(苦笑)
むしろ、力が入っているのは、主人公がなりすますイズマートのほうで、テロリストではなく「アフガンの男」として戦ううちにタリバン政権に入り、アメリカのミサイルで生まれた村を全滅させられ、テロリスト扱いの捕虜となりグアンタナモへと送られる
どこでボタンを掛け違えたのか、対テロの作戦が新しいテロリストを生まれる構図が浮かび上がってくる

唸らされたのは、テロ対策で投入される軍事技術
潜入したマーティンを追いかけるのに、高度二万フィート(約6000m)に無人機プレデターを巡回させてマークする。上空から撮影された写真を拡大すれば、歩いている人間の顔を確認することも可能だ
このRQ-1プレデターは、対地ミサイルを搭載でき、遠く離れたアメリカの基地で操ってアフガンの目標を攻撃することもできる。ターミネーターも顔負けの無人兵器なのだ
アメリカ軍はこうして空から得た情報と連動した作戦行動をとっていて、アフガンでは、地上にいる特殊部隊がマーキングした地点に、ピンポイント爆撃して少ない戦力でタリバンを潰走させている
しかし、平時に潜伏するテロリストを見つけるには限界があり、下巻では早々にマーティンを見失ってしまう
そこでは人間が人間を追いかける、古典的な手法しか通用しない領域があるのだ
悲痛なラストは人智を極めたテクノロジーをもってしても、神出鬼没の自爆攻撃を止め難いという現実を表しているようだ


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