『イコン』 上巻 フレデリック・フォーサイス

「ハズレなし!」の帯に苦笑い
確かに、この小説は当たりですが


イコン〈上〉 (角川文庫)イコン〈上〉 (角川文庫)
(1998/09)
フレデリック フォーサイス

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1999年のロシア。大統領の急死から、カリスマ的な政治家イゴール・コマロフが、次期大統領として確実視されていた。ある日、謎の老人がイギリス大使館員に怪文書を投げ込んだことで、不審な事件が始まる。コマロフが著したとおぼしき「黒い宣言」には、ロシア帝国の復活ともに、少数民族やマイノリティの弾圧、旧ソ連圏の統一戦争といった過激な政策が記されていたのだ。イギリス情報部が警戒を強めるなか、コマロフの秘書が水死体で上がり……

単行本は1996年出版で、その時点から1999年の近未来を舞台にしたポリティカル小説だ
ボリス・エリツィン1997年に死んだことになっており(実際は2007年病死!)、その後継であるジョセフ・チュルカソフ(おそらく架空の人物)がエリツィンの指名で第二代ロシア大統領に就任し冒頭に落命する
エリツィンはしょっちゅう、首相=後継者を変えたものの、直接の後継は今のプーチンなので、作品の世界は現実とかなりかけ離れてしまったことになる
しかし、小説としては面白い
上巻ではイギリス情報部(SIS)とコマロフ一派の駆け引きに、CIAの元工作員ジェイスン・モンクが行うソ連時代の工作が回想として挿入され、それが上巻の最後に劇的に交わる
ソ連時代に戦友ともいえるスパイたちを抹殺したGRU大佐ソロミンは、コマロフの側近としてその謀略の実行部隊を率いていたのだ
下巻は復帰したモンクがロシアで宿敵ソロミンと戦うという、熱い展開が待っていて、上巻でのお膳立ては完璧だ

近未来としての予測は外れてしまっても、ロシア社会への批評は鋭い
ロシア・マフィアというと、ソ連崩壊から混沌とした市場経済で勃興したとイメージしがちだが、実際にはその存在は帝政ロシアから脈々と続いてきたという
ソ連時代も硬直した計画経済を補完する勢力として、ノルマを達成したい官僚たちから重宝され、当局から黙認された闇の存在だった
ソ連が崩壊したのちにマフィアたちは国有資本の払い下げで膨大な利益を得たものの、余りに財を吸収して外貨に換えてしまったため、財政の債務超過と経済の崩壊を招いてしまったという
コマロフは四大マフィアのひとつと独占させる契約を結び、側近にはKGB、GRU出身者が固まっている。この官僚とマフィアの渾然とした結合こそ、現代ロシアの姿のように思えた


次巻 『イコン』 下巻
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