『子殺し 猪木と新日本プロレスの10年戦争』 金沢克彦

特別、長州番でもないといわれますが

子殺し 猪木と新日本プロレスの10年戦争子殺し 猪木と新日本プロレスの10年戦争
(2009/07/17)
金沢 克彦

商品詳細を見る


格闘技ブームのなか、新日本プロレスはなぜ迷走したか。レスラーに密着し続けたGKことゴング金沢が、メジャー団体の暗黒時代を振り返る
タイトルから猪木批判なわけだが、単純な告発本ではない。著者がゴング編集長時代のメモから、渦中にいた選手達の姿を追い、総合格闘技の嵐にいかに巻き込まれたかを描いたドキュメントである
総合路線から最も遠い邪道・大仁田から、橋本真也VS小川直也永田裕志藤田和之ケンドー・カシン=石澤常光、そして幻のヒクソン招聘計画
必ずしも猪木に振り回されただけではなく、層が厚すぎる団体ゆえに何かで上を越えねばならないという焦り、五輪に出られなかったことへの雪辱、とそれぞれに総合のリングに上がる動機が存在していた
しかしマット界をリードしたい猪木と他団体との駆け引きのなか、最悪のタイミングで対戦が組まれていったのも事実。本書では、騒動がいかに選手たちを揺さぶり、混乱と惨状に至ったかを克明に追っている

最大の事件といえば、1999年のイッテンヨン、橋本・小川のセメント事件だろう
俗に猪木に含まれた小川が仕掛けたものとされ、現場責任者であった長州力と橋本の確執も噂されたが、本書で明かされたことは少し違う
まず、小川は試合前のルール確認に来なかった。額面は「新日本プロレス格闘技戦ルール」(苦笑)だが、暗黙のルールについては話し合って決めるはずだった
プロレスの技は危険なので相手との信頼関係は必須。この時点で普通のプロレスから外れることは間違いなく、橋本も体に油を塗って備えた
これだけ見れば、猪木のシュート指令に思えるが、その後、ゴングの取材で小川から不可解な発言が出た。最初はUFOのルール(=総合格闘技)のはずが、新日本のルールに突然変わったと言うのだ
セメント事件の真相は新日本とUFOのルール確認がなされなかったことにあり、かたや異種格闘技的プロレス、かたや総合格闘技のつもりでやっていた。管理人が想像するに、小川からすると総合の試合なら対戦相手と顔を合わせるのはおかしいと、単純に考えたのではないだろうか

事件直後、ゴマシオこと永島氏が猪木に電話をかけたところ
「会長、これは一体どういうことなんですか!?」
「おれもまさかあそこまでやるとは思わなかったんだ」
「今、ここに橋本がいて、小川と話したいと言ってますけど、小川は出られますか」
「ああ、いま代わるよ」
 ここで、橋本と小川に電話は代わった。
「小川、オマエ、これはどういうことなんだ!?」
「すいません。頭が飛んでしまって……すいません」
「オマエには俺を救う義務があるんだぞ! 俺を助けなきゃいけない。どうする?」
「分かってます、すいません……」

後にZERO-ONEで行動を共にする二人だが、このときの貸借関係が原点なのかもしれいない
直後には互いに“忌むべき事件”と認識していた両団体だが、猪木-UFO側がフライデー誌上で開き直るようなインタビューを行い決裂する
しかし、長州-坂口ラインを崩す藤波社長、倍賞専務の新体制が生まれ、さらなる小川-橋本戦へ動くことになる

猪木のイエスマンである藤波体制で、新日本プロレスは格闘技路線をひた走った
2000年PRIDEで当時最強と言われたマーク・ケアーを下した藤田和之は、2001年4月にIWGPヘビーのベルトを巻く
しかし、同年8月にK-1の大会でのMMAルールで格下とされていたミルコ・クロコップに額を割られ、TKO負け。同年11月にミルコに敗れた高田が新日本プロレスを挑発し、ミルコ-永田戦へとつながっていく
もっとも格闘技ブームに翻弄されたのは永田裕志だろう
今となっては藤田が永田勝利を確信していたというから分からないが、ミルコは藤田戦で怪物に生まれ変わっていた
対ヒョードル戦では、直前まで対戦相手が二転三転し、イベント開催自体が危ぶまれ、永田自身も新日恒例のイッテンヨンに目が向いていた。最終的には猪木に頭を下げられて、決断に至ったという
本書はレスラーの名誉のために言葉を選んでいる部分もあり、すべてを晒す暴露本ではない。しかし、レスラーの口から発せられた生の言葉は刺激的であり、著者はその背景まで慮って忠実にその声を伝えてくれる
PRIDEが消滅した今となっては遠い過去に思えるが、今の新日本プロレスはこのような時代を経て存在しているのだ
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
カテゴリ
SF (22)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。