『大聖堂 』 下巻 ケン・フォレット

続編あります

大聖堂 (下) (ソフトバンク文庫)大聖堂 (下) (ソフトバンク文庫)
(2005/12/17)
ケン・フォレット

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棟梁のトム・ビルダーが死に、その息子アルフレッドが引き継いだ大聖堂は、式典で崩落を起こした。呪われたような運命に修道院長フィリップも気落ちするが、その事故現場で新しい希望が生まれていた。アリエナはジャックの赤子を産み落としたのだ。彼女はアルフレッドと別れ、ジャックがいるというイベリアへ向かうのだった

アリエナがジャックを追いかけたことで、物語の舞台はイングランドからフランス北部、スペインまで広がる
12世紀のヨーロッパでいかなる大聖堂が建てられたか、人びとがいかなる生活を送っていたかが語られ、物語のスケールは壮大なものとなった
中世のキリスト教という人びとを押さえつけるイメージを抱きがちだが、修道院は古代ギリシア、ローマの文化を引き継ぐ保管庫であり、大聖堂は当時の文明の粋を集めた一大建築物であった
巨大で荘厳な大聖堂を建てるには、きわめて緻密な幾何学が要し、そのためにキリスト以前の学問が援用された
ジャックがキングスブリッジに持ち帰った最新の建築様式は、イスラム圏から伝わった尖塔アーチを特徴とし、同時代には十字軍がパレスチナに王国を築いていた
『大聖堂』では、東西の衝突と交流が激しくなるルネサンス前夜の時代が描かれている

当初は様々な人間の群像劇として始まった物語も、大聖堂を完成させるジャックとアリエナのラブストーリーで収束していった。文学的にはともかくも、各人物の運命を整理していく手腕は名人芸である
その割りを食ったのがトムの長男アルフレッドで、ウィリアム・ハムレイもまた露骨な悪役のまま死んでいった
しかし両人ともそれぞれ、恋愛によらず一緒になった夫婦、独立性の高い豪族の横暴、といった人間の典型を表現する存在といえ、中世人の苦悩と荒廃を知らしめてくれる
普通の歴史物などと違うのは、主人公側が剣を持たないところだろう
物語終盤こそ、大聖堂を中心に巨大化する都市として武装をし始めるが、貴族の横暴にまったく手が出せない。人々は知恵と忍耐だけが頼りだ
イングランドでは教皇のいるローマから遠く、大司教ですら国王や大貴族に逆らうのは命がけだった
だが、庶民には心の盾、信仰があった。それが人びとを団結せしめ、ときに大勢を動かした
本作は大聖堂を中心とするキングスブリッジを通して、踏まれては立ち上がった中世の人々の精神を教えてくれる


前巻 『大聖堂』 中巻

ケン・フォレット原作 リドリー・スコット製作総指揮 ダークエイジ・ロマン 「大聖堂」 [DVD]ケン・フォレット原作 リドリー・スコット製作総指揮 ダークエイジ・ロマン 「大聖堂」 [DVD]
(2012/01/18)
イアン・マクシェーン、サム・クラフリン 他

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