『大聖堂 』 中巻 ケン・フォレット

やっと中巻を読みました

大聖堂 (中) (ソフトバンク文庫)大聖堂 (中) (ソフトバンク文庫)
(2005/12/17)
ケン・フォレット

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シャーリング伯の父が幽閉されウィリアム・ハーレイに襲われたアリエナとリチャードの姉弟は、流浪の末、キングブリッジの修道院長となったフィリップに救われた。キングブリッジでは、火事で焼けた大聖堂の再建がトム・ビルダー一家の手で行われていた。時は流れ、リチャードは父の名誉とシャーリング伯の地位回復を目指して騎士となり、イングランドの王位を巡る内戦に参戦するが……

一年十ヶ月空けて中巻を読んだのだが、登場人物の設定はほぼ覚えていた。忘れられないほど、鮮烈な物語だったのだ
中巻では大聖堂の建築も進んで主要な登場人物もキングブリッジに集結し、タイトルに相応しい群像劇になっていた
大聖堂の担い手である院長フィリップと棟梁トム・ビルダーから、エリンの子ジャックや落ちぶれた姫アリエナに焦点が移って、主役の世代交代も静かに進んでサーガとしての性格が明確になった
大聖堂の建設を背景に、アリエナを巡るジャック、アルフレッド、ウィリアムとの関係が中巻のベースとなるのだが、どいつもこいつも我が強く歪んでいて、いわゆる感情移入の対象にはなりにくい。ガンダムで言えば、まるでVガンである(苦笑)
性暴力なども目を背けたくガチで書き、日本人好みの誰かの視点に立つ読み方ではしんどい物語なのだが、現実と違う原理で動く世界を味わうのもまた時代小説の醍醐味
「中世を生きるのは、厳しいことと知ってください」と訴えかける作品である

物語の展開を理解するには、ある程度、中世ヨーロッパの知識がいるだろう
キングブリッジの修道院は教会権力であり、ローマ教会あるいは上位の聖職者以外からは独立した存在である
なので、シャーリング伯、あるいはその後継者ウィリアム・ハーレイに文句を言われる筋合いはないのだが、いざ紛争が起こってそれを解決するには国王かそれを制する聖職者の助けが必要
まして、12世紀のイングランドは無政府時代と称されるほどの混乱期で、スティーブン王と先王の娘マティルダが王位を争い続けている
小説では、採石場や市場に対するスティーブン王の裁定をマティルダが覆し、フィリップやウィリアムも新しい支配者に従わなくてはならなかった
そして、強い王権がない以上、そうした裁定の履行が保障されることもなく、武力のないキングブリッジはウィリアムの略奪に甘んじざる得ないのだ
唯一の善人ともいえるフィリップも、安全保障については迂闊だったかもしれない

大聖堂は着実に完成へ向かうも、やれんのか、という展開が続く
今後、何に期待をしていいか検討もつかないが、剣も魔法もない以上は各人がイギリス人の美徳、不屈の闘志を出すしかあるまい
どの登場人間も業が深いが、一貫性だけはあるのだ


次巻 『大聖堂』 下巻
前巻 『大聖堂』 上巻

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(2012/01/18)
イアン・マクシェーン、サム・クラフリン 他

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