『「ニート」って言うな! 』 本田由紀 内藤朝雄 後藤和智

「ニート」って言うな! (光文社新書)「ニート」って言うな! (光文社新書)
(2006/01/17)
本田 由紀、内藤 朝雄 他

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「ニート問題」は実在するのか? 三人の著者が論争の根拠、背景を探る
出版は2006年1月で、小泉内閣時代の2004年あたりから現れたニート」という言葉が、どのように政治家やマスコミ、市井を一人歩きして、社会問題化したかを明らかにしていく
構成は三人の書き手によって役割文体がなされていて、まず研究者の本田由紀氏ニート問題が統計面から不当であること、イギリスの原語と意味が変わって誤った使われ方をしていることを指摘
次に社会学者の内藤朝雄氏が、なぜ「ニート」が流布して若者を傷つけるようになったかを、大衆心理から憎悪のメカニズムを説明し、「俗流若者論批判」のブロガー・後藤和智具体的に誰が、どのマスコミが扇動したかを指弾する
三人中二人が「ニート問題」批判に専念するのはやり過ぎな気もするが、その心は再び同じような若者・弱者攻撃のスケープゴートを許さないためで、そのために「ニート問題」捏造のメカニズムを解き明かしている

管理人の知的好奇心は第1部「現実」で満たされた(苦笑)
ここにおいて「ニート問題」の実態はほぼ明らかにされている
まずイギリスにおける「NEETとは、16歳~18歳の限られた青年を対象にした、「働いてもいない、学業もしていない状況の層」で、経済低迷を背景に高校にも行けずキャリアが積めない状況を問題にしたものだ
しかるに、日本の「ニート15歳~34歳と幅が広く、「働く意欲も学ぶ意欲もない層」で、当初は雇用問題として意識されたが、しばらくして勤労意識や責任感の欠如が原因として社会のゴミ扱いされた
そして、ニート対策に軍隊式のカリキュラムを取り入れた「若者自立塾」なるものまでが設立されるに至っている(2010年に事業仕分けで廃止)
しかし、実際にニートが増えた実証は、90年代から00年代という短いスパンでしか示されず、より長い期間でみれば「引きこもり希望のニート」の比率は実は変わっていない
「労働の意欲があるが就活していないニート」の比率は上がっているが、その背景には若年者の失業率の急上昇があり、フリーターの増加も増えていて、解雇規制が強いゆえに若年者に雇用調整が響く日本型雇用システムの問題がある
第一部において、そうした既存の構造の問題から、卒業即就職の見直し、学歴に依存しないキャリアの積ませ方など硬直した雇用システムを解きほぐす提言までもまとめられていて、非常に読み応えがあった

第2部「構造」では、内藤朝雄氏による「ニート問題」が求められた背景が各種の青少年ネガティヴキャンペーンと連ねて語られる
「ニート」とは、「パラサイト」「引きこもり」に続く「言いがかり」資源であり、少し前に流行った「キレる少年」の同類
「近頃の若者は……」という古代エジプト以来の人類の伝統でもあるが、日本そのものの閉塞感を経験に乏しい若者へ置き換える現象は危険で、政治家によって反動的な政策へ誘導される危険があるとする
ただし、氏の右派政治家による誘導で「プチ徴兵制」という言い方には、違和感がある。そもそも戦後の企業戦士からして、会社に徴兵された存在ではなかったか
「ニート問題」は、より幅広い層を覆う勤労道徳が生み出した強迫観念が生み出したと思う

第3部「言説」では、後藤和智氏によって「ニート問題」の立ち位置が説明された
最近の若者論は「パラサイト・シングル」論「社会的ひきこもり」論の二つの風潮があり、この二つと関わる形で「ニート問題」が発展したという。当初、経済問題とされた論者たちが自己責任論や精神論に転化する様子が明らかで、リベラルに見られる週刊誌も驚くべきキャンペーンを打っていた
左右問わず、勤労という価値観や既存の雇用システムを突き崩す動きには敏感で、そこに「ニート問題」がスケープゴートに使われたことが良く分かる




↑学校でこういう教え方しているというのは、ヤバイよ
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