【DVD】『ブラザーフッド』

韓国にとっての戦後は朝鮮戦争後

ブラザーフッド プレミアム・エディション [DVD]ブラザーフッド プレミアム・エディション [DVD]
(2004/11/05)
チャン・ドンゴン、ウォンビン 他

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1950年のソウルで、靴磨きのジンテ(=チャン・ドンゴン)と高校生のジンソク(=ウォンビン)の兄弟は、貧しいながらも一家で幸せに暮らしていた。しかし、6月25日に朝鮮戦争が勃発。緊急徴兵されたジンソクともに、ジンテも絶望的な防衛戦に参加する。勲章と引き換えに弟を除隊させるためだ。米軍海兵隊の仁川上陸ともに戦況は好転するが、内戦の過酷な戦いのなか、兄弟にも隙間風が吹く

たまには韓流をというわけだが、少し飽食気味の映画だった
荘重な音楽に始まるハリウッドリスペクトの出だしに、ジンテ一家の生活から戦争で引き裂かれる顛末まで、息のあった演技も相まって引き込まれていった
ただし、戦場に入るとジンテがランボー化して、バランスが一変する。火力優勢の敵に夜襲を決行し、自身は機銃に向かって突撃するなど、超人化してしまった
2時間28分の尺の中に戦闘の占めるシーンが多すぎて、『プライベートライアン』が急に『プラトーン』、『ランボー』になったかのようだ(苦笑)。リスペクト先を食う精神は買うが、これではせっかくのドラマが薄くなってしまう
ラストの展開も兄弟対決の筋のためにリアリティを曲げてしまった。シリアスさを優先するのか、アクション性を重視するのか。軸がぶれているのが惜しい

長い戦闘シーンでぼけてしまいがちだが、この映画で訴えたいことは朝鮮戦争に隠された悲劇である
戦線が半島の南北を往復した戦争の下、南北両勢力とも占領地でスパイ、敵シンパを殺し合い、放棄するときにも粛清する、凄惨な光景があった
国民保導連盟は本来、共産勢力を解体するための反共組織として生まれ、登録すればアカの親戚がいても連座せず、配給も優先的に受けられると思想関係なしに登録する者も相次いだ。映画でも、ジンテの嫁(=イ・ウンジュ)が登録している
しかし朝鮮戦争が始まると、保導連盟が共産勢力に乗っ取られたとして李承晩大統領による処刑命令が出された。韓国警察や軍によって少なくとも20万人以上が虐殺されたという
この事実は長らく韓国社会のタブーであり、軍事政権によって隠蔽されていたが、盧武鉉政権下での過去史清算事業の流れでこの映画の製作が実現したようだ
政治が民主化されても、国策として振興される韓国映画業界は、ときの政情を無視できないと考えるべきだろう

グロ表現が容赦ないことには注意。戦争映画でもこれだけヤッちゃった映画はないだろう
地雷で足を失う兵士。麻酔なしの手術。頭を吹っ飛ばす自殺。敵の頭に石を打ちつける主人公
リアリズムというより、見せつけるような執拗さがあって、かなり人を遠ざけてしまうことだろう
ミリタリー的には徴兵制の国だけあって抑えるところは抑えているものの、爆発の範囲の割りに人が無事とか(他の映画にも良くある失敗)、反攻の主力となった連合軍が航空機しか姿を出さないとか、いくつか違和感はある
それでも北へ行くほど兵士の服装が分厚くなるなど、南北における風土の違いを表現していたのは、趣き深かった
残念な部分はあるものの、兄弟が相食む内戦の悲惨さを伝えてくれる作品だ


朝鮮戦争―38度線・破壊と激闘の1000日 (新・歴史群像シリーズ 8)朝鮮戦争―38度線・破壊と激闘の1000日 (新・歴史群像シリーズ 8)
(2007/06)
不明

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