【DVD】『聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実』

2011年末の公開。時の流れは早い

聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実- [DVD]聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実- [DVD]
(2012/07/13)
役所広司、玉木宏 他

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1939年、海軍次官だった山本五十六(=役所広司)は、日本を取り巻く閉塞感から浮上した日独伊三国同盟を最後まで反対し、連合艦隊司令官に転じた。第二次世界大戦の始まりとともに、三国同盟が締結され、世論も日米開戦に傾いていく。山本はやるなら、速戦速決で早期講和を実現する他ないと、ハワイ作戦を強行する

長丁場の映画ながら、場面転換が小気味良くだれるところはなかった
ただし、いくつか引っかかるところがある
原作の要素を取り込みすぎたからか、特に前半は短いシーンが強引につなげられていて、駆け足の感がぬぐえない。そのために、いい役者を揃えても芝居を楽しむゆとりがない
山本五十六の人柄を称えるために、子どもにプレゼントさせるなど聖人君子な分かりやすい描かれ方をしている。戦争映画というより立志伝的で、ミッドウェーの敗戦なども南雲中将(=中原丈雄)や軍令部に押し付け気味だ
本人も海軍大臣志望であったように、幅広い視点に立つ軍政家が本分で生粋の戦争屋ではないことを指摘しても良かったと思う
ミッドウェーの慢心から自身の行動予定が打電されたことなど、情報戦の無惨さには五十六にも責任があるわけなのだ
とはいえ、五十六が戊辰で敗れた長岡士族の出であること、戦前はマスコミも庶民も開戦に傾いていた点などを真っ向から取り上げた点は大いに意義がある

もっとも日米開戦を避けたかった男が開戦の陣頭に立った原因は何か
この映画の指すところ、大手新聞社に代表されるマスコミである!
香川照之演じる宗像は、自身の主義と新聞の部数を伸ばすために五十六から威勢のいい開戦論を引き出そうとし、新聞社も「報国報道」の旨に正確な情報より戦意高揚を優先する
ミッドウェーの敗北以来、戦果を糊塗した大本営発表を垂れ流し続け、敗戦後は「鬼畜米英」から「アメリカ民主主義に学ぼう」へあっさり転向してしまう。スローガンが入れ替わっただけで、敗戦などなかったような熱心さには唖然とさせられた
立場によってスタンスを変える報道姿勢は今でも随所に見ることができる
スポーツマスコミなどはそれが顕著で、野球やサッカーの国際試合などの白々しい煽りとその結果の無惨さはすでに風物詩となっている。なんど我々は「知ってた」とつぶやかされたことだろう
熱狂を冷水で消すより、油を注いだほうが商売になり、取材源との関係も守られるというマスコミの性根は変わらない
もっとも国民がそうした役割をマスコミに求めたからでもあるだろうが

戦闘場面のCGについては、やや浮いている気はした
ハリウッドより投入できるマネーは限られているのだから細かい部分は止む無しだが、景色、航空機とも綺麗すぎて、ドキュメント映像を観ているようだった
コクピットの場面では高空を飛ぶパイロットのしんどさも伝わってこず、ミッドウェーの特攻シーンは史実どおりであってもさわやか過ぎる。過酷な環境の汗を感じないのだ
CGで綺麗な絵が描ける時代だからこそ、汚しの技術は重要である
この爽やかさは映画の基調でもあって、役所広司の演技とともに戦争映画だと視聴者を身構えさせない効果を生んではいる
ただし、五十六が撃墜される場面では唯一の流血シーンなのに、やけに穏やかなBGMが流れていたりと、シーンの目的と演出のズレを感じた
テーマも意気もよろしいが、テンポが良すぎてひとつひとつのシーンが軽いのは、大作映画として少し残念


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聯合艦隊司令長官 山本五十六聯合艦隊司令長官 山本五十六
(2011/11/08)
半藤 一利

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