『ヴィンランド・サガ』 第3巻 幸村誠

歴史もんは追いかけたいが、お金ぇ……

ヴィンランド・サガ(3) (アフタヌーンKC)ヴィンランド・サガ(3) (アフタヌーンKC)
(2012/09/28)
幸村誠

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中世初期のヨーロッパでの、バイキングの活躍を描いた大河ドラマ
2巻目まで読んでいたのだが、第3巻には手が伸びないでいた
第1巻がバイキングの説明で、第2巻から主人公トルフィンの復讐譚の始まりとなっていたが、話の展開が遅いのと、描線が細くて作家の持ち味とモチーフが合ってない気がして乗れなかったのだ
第3巻を読んでみれば、それはみんな杞憂だったと言わざる得ない
ストーリーの舞台はノルマン人の大移動という世界史における大激動に移り、戦いに及んで絵にも力強さを増していたのだ
主人公の属する集団でありながら、バイキングが侵攻の先々で略奪に励む様もしっかり描かれ、強姦行為すら強調はしないものの、当時の常識として踏まえられている
トルフィンは父の仇であるアシェラッドの軍団に属してその命を狙い、アシェラッドはそれを分かっていながら、いわば父性を引き受けるように立ちはだかる。今までのところは素朴な父殺しの物語で進んでいる

歴史物が数ある中、全てにかっちりとした考証と表現がなされているわけではない
トルフィンと敵の大将トルケルの一騎打ちは講談の義経対弁慶のようで、お互い人間離れした身体能力を見せる。主要人物とその他との能力差が開いていて、ヒーロー物のようだ
史実の人間ではなく、叙事詩のなかの英雄を選択したのだが、そのおかげで作品にが出た
第2巻までの地味な描写が続くと、たしかにしんどかったろう(苦笑)
背景世界の方は、主人公の故郷アイスランドがバイキングの開拓地とされていて、第3巻ではデーン人によるイングランド侵攻としっかり史実を踏まえている
デンマークは現在もグリーンランドフェロー諸島を自治領として抱えていて、かつてはアイスランドもそうだったのだ(第二次大戦での連合軍の占領を経て独立)

興味を引いたのは、バイキングたちの精神世界
オーディンを中心とした神々に、ラグナロクという世界滅亡の神話があって、戦士達は死後にヴァルハラで報われる
自らの名誉が死後の世界で保障されていて、それが死をも恐れぬベルセルクを生み出した。一軍の将トルケルがそれに心酔するのは如何なものかと思うが、彼らの強さの源である
アシェラッドはそれに滅亡へ向かう世界というキリスト教の終末論を取り込み、バイキングが破壊の末に自滅することを予見する
次世代のバイキングであるトルフィンは、それをいかに乗り越えるのか
ヴィンランドはバイキングが北米大陸を名づけたものだから、いつかアイスランドを開拓した実父のように大海へ漕ぎ出すのだろうか
続きが楽しみだ


ヴァイキング―海の王とその神話 (「知の再発見」双書)ヴァイキング―海の王とその神話 (「知の再発見」双書)
(1993/03/20)
イヴ コア

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