『美しい村』 堀辰雄

青空文庫でも読めますが

風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)
(1951/01/29)
堀 辰雄

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『風立ちぬ』を別枠で扱いたいので、記事を分けることにした
本作は軽井沢を訪れた若い小説家と少女との出会いを描いた私小説的作品
いや、驚いた。赤裸々ともいえるロリコン告白なのである
小説家として美しい光景を目に焼き付けていた“私”は、同じく風景を写生する少女を見て惹かれる。“私”は以前にも同じ年頃の少女と付き合ったことがあったらしく、苦い思い出を持っている
ロリコンの“私”にとって脅威なのは、以前の私を知る元少女たちに出くわすことである。狙いの少女を連れつつも、不自然なほど一目を避けて行動する
ラストにはついに元少女の人妻に見つかって……自意識過剰が痛々しく腹を抱える展開である(苦笑)
解説によると、この『美しい村』は堀辰雄にとって転機になった作品で、それまで少女や風景を「将棋の駒」のように扱っていたのが、次作の『風立ちぬ』で実体験を経て変貌していくそうだ
美しい日常を書くはずが、一人の少女の出現で作品の中身まで現在進行形で変わってしまう。超然とした“私”が一介のキャラクターとして右往左往する。それが本作の醍醐味だ

作品のBGMとして流れるのはバッハの遁走曲(フーガ)であり、その構図はハルキ作品との関わりを考えしまう
バッハを演奏するのは外国人で、戦前の軽井沢は多くの外国人が過ごすリゾートだ。そもそも軽井沢を避暑地にしたのは、カナダ人の宣教師アレクサンダー・クロフト・ショーで、その後西武財閥などの資本が入って日本三大外国人避暑地と呼ばれるまでになった
今上天皇と美智子皇后が知り合ったことでも有名で、ビートルズ解散後のジョン・レノンが毎年利用していた
こうした避暑地には、転地療養に使われるサナトリウム(療養所)があって、堀辰雄自身も結核にかかって療養していたという
アニメやラノベが文学として語られる昨今である。その先達として本作も読まれるべきだろう


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