【DVD】『シルク』

非常階段、ではなくて

シルク [DVD]シルク [DVD]
(2012/07/20)
マイケル・ピット、キーラ・ナイトレイ 他

商品詳細を見る


フランスの若き軍人エルヴェ(=マイケル・ピット)は、故郷の村でエレーヌ(=キーラ・ナイトレイ)と出会い結ばれる。ちょうど村は製糸業が立ち上がり、蚕の疫病のために大打撃を受けていた。実業家バルダビュー(=アルフレッド・モリーナ)は健康な蚕を買い付けるため、エルヴェに軍人を辞め日本行きを頼んだ。引き受けた彼はロシア経由で日本へと渡る。蚕がいる寒村では、謎の豪商・原十兵衛(=役所公司)と美しい少女(=芦名星)が待っていた

19世紀のフランスと日本をまたいだ壮大な恋の物語
とにかく風景が美しい。暖かい南仏の山村雪に覆われた日本の寒村が対照的で、景色をたどっているだけで心洗われる
当時の日本、フランスを再現するという執念は感じる
しかし映像が生々しいわりには、劇として表れた日本には違和感が残った
外国の原作、監督だからやむを得ないのだが、原十兵衛の村が反乱軍(天狗党?官軍?)に焼かれた事情など、日本人の台詞が少なすぎるから背景が読みにくい十兵衛の密貿易と藩なり幕府の関係に触れて欲しかった
作品全体としても、エロチックな場面が多いわりに中盤の押しが弱く、漫然と流れてしまって、終盤は高級娼婦役の中谷美紀がぜんぶ持っていってしまった感がある(苦笑)。エレーヌにも芦名星にも、もう少し激しい台詞を言わせても良かったのではないだろうか
ラストのオチと余韻は素晴らしいので、惜しまれるところである

作品の背景にあるのは、日本とフランスを結びつけたである
1860年代のヨーロッパでは蚕の病気が流行り、製糸業は大打撃を受けた。良質の蚕を血眼に探す貿易商人たちは、制限貿易を続ける日本に殺到したのだ
日本産の蚕の卵を持ち帰るだけで大儲けできるほど、相場が上がっていた(このへんのことは鹿島茂の小説『妖人白山伯』に詳しい)
主人公エルヴェが日本に至るコースが面白く、ウィーン→モルダヴィア→キエフ→シベリア横断(!)→ウラジオストック→サカタ(山形県酒田港?)というサバイバルルート!
船を使わないのは、スエズ運河開削前で南半球を大回りする必要があったからで、温度で蚕の卵が孵化しないように氷で冷やしながら持ち帰らねばならない
映画ではパスツールにより病気の蚕を仕分ける研究が進み、安価に蚕卵を仕入れられるようになったことから、日本詣する必要がなくなったとしている

題名の『シルク』は、蚕の繭を原料とすると、日本人女性の肌を表している
海外で日本人の女優が賞をもらうとき、もれなく大胆な濡れ場が盛り込まれたりして、ヨーロッパでは日本人女性が貞淑なイメージの反面、エキゾチックで神秘的な存在に眺められている
それが端的に表れたのがこの映画である
しかし日本人からすると、芦名星はキレイだがデカい(笑)。外国人の血が入っているらしいとフォローが入るものの、さして大柄でないエルヴェ役の役者と比べて見劣りしないのはまずいんじゃないか
また家で黙り過ぎているのも不自然で、愛人なのか正式な妻なのかはっきりしなかった。大棚の奥さんなほど、家では仕切りまくるのが相場なのだが。これがヨーロッパにおける典型的な大和撫子なのだろう
劇よりも美しい風景、場面に魅入る作品である


関連記事 『妖人白山伯』

絹
(1997/05)
アレッサンドロ バリッコ

商品詳細を見る
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
カテゴリ
SF (22)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。