【DVD】『カティンの森』

日本に生まれて良かったよ

カティンの森 [DVD]カティンの森 [DVD]
(2010/05/07)
マヤ・オスタシェフスカ、アルトゥル・ジミイェフスキ 他

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1939年9月17日、ドイツと交戦中のポーランドにソ連軍が侵攻した。槍騎兵将校アンジェイ大尉(=アントゥル・ジミイェフスキ)は捕虜となり、その妻アンナ(=マヤ・オスタシェフスカ)と幼い娘ヴェロニカと引き裂かれた。紆余曲折の果て、アンナとヴェロニカはナチス側にあるクラクフに逃れるが、独ソ戦の始まりともにカティンの森の虐殺が伝えられた。発表されたリストに名前がないことから、アンナは夫の生存を信じるが…

ポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダが描く歴史的虐殺事件の真相
冒頭から悲劇的だ。東から逃れてきた避難民が、西の避難民と橋で交錯する場面から始まる
それは単に国が分割されるだけでなく、全体主義国家の支配で「自由な祖国」が失われたことを象徴している
主人公のアンナをはじめとする女性たちは、子どもとともに戦火を逃れ、新しい「人民共和国」では口をつぐんで生きねばならない。カティンの森はソ連が犯人だったが、「解放」後はナチスドイツの犯行に書き換えられていたのだ
虐殺事件とその妻子が送る占領下の社会がテーマなので、派手な戦闘シーンはない
さりげない会話にユーモアと皮肉がこめられる一方、いわゆる意図的なBGMはなく、沈黙の演出が効果的に使われている。そのため役者の所作や台詞、ひとつひとつの場面が視聴者の読みを要求し重厚感をもつ
題材が題材だけに、宣伝映画やクライマックスでは射殺の場面や死体がごろごろ出てくるので、それだけは覚悟しよう

ポーランドのアニメファンがコードギアスのスザクに怒っていたそうだが、この映画を観ればよ~く分かる
ポーランドは外国の軍隊の占領下に置かれ、冷戦崩壊までリアルにイレヴンを生きてきたのである
カティンの森事件は、いわばポーランド人にとっての踏み絵となっていて、その真相は周知にも関わらず真実を語ることは禁じられてきた
アンジェイの部下イェジ中尉(=アンジェイ・ヒラ)はその踏み絵を踏むことで新ポーランドの少佐に上り詰め、元パルチザンの闘士たちがそれを拒否して投獄されていく
ポーランド人にとってカトリックは精神的な支柱だったが、教会すらもイデオロギーの波に呑まれていく。ドイツが掘り起こした際に死者へのミサを取り仕切った司祭は収容所に放り込まれた
カティンは1940年に起きたが、公式発表は1941年だからその犠牲者の墓には本当の死亡年は刻まれなかった
映画でスザクの位置にいるイェジ「まず生きねばならない」と言い訳するが、大将夫人から「想いは違っても、行動はあいつらと変わらない」と突きつけられ、良心の呵責から自殺する

カティンの森事件はなぜ起こったのか
資料が少なく未だに謎とされているが、映画では「兵器はゼロから作れるが、将校はそうはいかない」「ソ連側がそれに気づかなければいいのですが」というやり取りがある
当時のポーランド政府はフランスついでイギリスに逃れて亡命政権を置き、捕虜の解放を求めていた
連合国とソ連はともかく、亡命ポーランドとソ連は敵対関係にあり、ポーランド軍の捕虜を解放するのは敵を育てるのも同然だった
捕虜たちはソ連を不可侵条約を破った裏切り者とみなしており、転向は見込めない。捕虜が国際問題化する前に、存在を消したというのが真相だろう
この事件はソ連が連合国に投じたので、当初は国際的に問題にされず、冷戦開始ともにアメリカで決議が行われた他、ペレストロイカで公表されるまで認められることはなかった
若干、登場人物の理解に時間がかかるものの、目を覆う出来事を卓越した技術で撮りきった大作である
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