『エコノミストを格付けする』 東谷暁

池田信夫さんは入ってません

エコノミストを格付けする (文春新書)エコノミストを格付けする (文春新書)
(2009/09)
東谷 暁

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エコノミストたちは何を語り、どう豹変してきたか。リーマンショック前後の発言を検証し、通信簿をつける
本書の初出はリーマンショック後の2009年で、アメリカの金融帝国が崩壊しグローバリゼーションと新自由主義に批判が噴出していた時期のものだ
欧米の金融立国を称揚していた者たちが、リーマンショックでいかに豹変し、あるいは開き直っているか、その厚顔さを批判していく
名指しで経済学者や政府関係者を指弾するものの、後出しジャンケンの個人攻撃には留まらない。あの時のあの議論はどういうに決着したのか、どこが適当な着地点かを、専門家の意見を引いて示し、知られざる結論を教えてくれる
経済はなま物であり、ここで語られた認識が先々通用するかは分からない。それでもエコノミストたちが陥りがちな錯誤、失敗の歴史を知ることは、現在の政策を考える上で役立つはずだ

エコノミストとは何だろう。評論家なのか、経済ゲームに参加するプレイヤーなのか
それがはっきりしないのが間違いの源で、はっきりさせようとするのが本書の意図である
竹中平蔵、高橋洋一、中谷巌、グリーンスパンなど政策に携わったプレイヤーは、科学的態度よりも自分自身の信念を優先したり、その場の流行に乗ったり、名声や立場を守ったりするために態度をころころ変えていく
たとえば今なお活発な高橋洋一は、ある時は政府系ファンドの創設を「海外から馬鹿にされる」と反対しておきながら、金融担当相だった渡辺喜美氏が外貨準備金を海外のファンドに出資したいと言えばその話に乗る
懇意の先生には協力し、明解な論理で政策を推進する優秀なテクノラートと評価している(必ずしも褒めていない)
経済学者のなかで一番批判される大物は、ノーベル賞学者のポール・クルーヴマン
彼はインフレターゲット論を掲げ金融政策を重視していたはずが、いざ不況で政策を関わるようになると大規模な財政出動を唱えるようになった
過去にもクルーヴマンはころころと発言を変えていて、メディアの中で自分の立場を守るために四苦八苦しているのが分かる
先のことなど誰も分からないが、分からないと口が裂けても言えないのが辛いところである

なぜアメリカ金融帝国の崩壊を読めなかったのか
その原因は、エコミスト全般がアメリカを信用しすぎたことにある。戦後、豊かなアメリカ社会を目標とし続け理想化してきたことから、彼らは間違いを犯さないと妄信していた
これは日本人全般の認識とそう差はないだろう
巻末の通信簿はアメリカの新自由主義を批判してきた金子勝などが高く、上記のプレイヤーたちの評価が低い。概して冷静な議論をする人物より、持て囃される軽率な人物の方が文章力が高く大衆受けする傾向があるようだ
経済は絶えず現在進行形で動き、すべての人がある種のプレイヤーとして関わっているものである。本書の中庸的な態度、例えば2009年当時の円高がそれまでの円安バブルの反動だったという説を、100円に届く今の相場で信じられるだろうか
分かっているようで誰も分かっていない。これが真実である


エコノミストは信用できるか (文春新書)エコノミストは信用できるか (文春新書)
(2003/11/20)
東谷 暁

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