【電王戦回顧】プロが胸を貸す時代は終わった

衝撃の結果を受けて。詳しいことは来月の『将棋世界』を読まないと分かりませんが(棋力は元アマ初段です)


第一局 ○阿部光瑠四段 VS 習甦●

角換りの将棋からソフトが桂損の攻めに出て、プロが冷静に立ち回り完勝した
事前の研究で桂損してくるところを把握していて、ソフトの弱点を見抜いていたことがそのまま勝因につながった
ある将棋関係者はプロが研究でソフトの弱点を探すなんて、と吐露していたが、以後の対局を見ればそんなことはいえない


第二局 ●佐藤慎一四段 VS ponanza○

ソフト側が飛車先の歩を交換させて、雁木模様の戦型をとった
ponanzaは第一局を見てか、序盤の定跡を外していた。角道を閉じた雁木もどきなので、プロが悪いとは思えなかったが、歩が交換できても手損の分、すぐ良くはならない
それでも、中盤にソフト側に疑問手が出てややプロ有利、いや指しやすい局面を迎えていた
先崎八段の観戦記によると、本当の敗着は最後の最後に受けた3二金らしい
すでに秒読みであり、疲れないコンピューターの強みが人間を押し切った
内容をみると、ponanzaに筋の悪い手が目立ち(即、悪手というわけではないが)、人間が大きなミスをしなければ勝てそうに思えた


第三局 ●船江恒平五段 VS ツツカナ○

第三局はソフトが三手目に7四歩を指し、力戦模様に。第二局と同じく開発者側が、定跡を嫌ってわざと三手目から外れるように設定したらしい
受けに定評あるというツツカナは、意外にも軽い攻めでボンクラーズに995点のポイントを出させるほど先手玉に迫った
しかし、実際はプロの読みが上回り、ツツカナの攻めは無理と判明。プロ側の玉型が長靴にも喩えられる要塞となり、明らかに逆転した
プロが完封を目指した中央での金打ちが疑問手で、ツツカナが長靴の口から打開し、押さえ込みの金二枚が歩越しの悪形に追い込まれて寄せきった

本局が一番の熱戦譜だった
舩江五段はコンピュータには序盤だけでなく、中終盤にも隙があることを実証した。その部分では、2007年の竜王ボナンザ戦から、さほど強くなっていないのかもしれない
もっとも、今回はデスクトップ一台での参戦だから、クラスタを組んだときにはどれぐらいになるのかは想像もつかない


第四局 △塚田泰明九段 VS Puella α△

前二局が居飛車力戦だったが、ディフェンディングチャンピオンと称するPuellaαは堂々と駒組みし、相矢倉となる
ソフト側がやや無理ではないかという端攻めを行い、塚田九段がそれを逆用する形で進んだ
塚田九段の作戦はハナから入玉ではなく、二段構えだと思う。しかし、局後、谷川浩司の名前が出されるほど細い攻めを上手くつなげて、塚田玉を入玉に追い込んだ
解説の木村一基八段が指摘していたように、角を逃がす順をとっていれば、その後の苦労は少なかったと思う
普通に相入玉しても駒の得点では絶望的で、人間相手ならかなり前に投了していただろう
最後は意地もプライドも捨てた執念で、持将棋に持ち込んだ

正直、電王戦のメンバーに塚田九段の名前が出てきたのは意外だった
おそらく大将戦がA級棋士だから、それに合わせてある名前のある棋士出したいけど、B級からはまだ出したくない。そういう意図を勘ぐりたくなる人選だった
塚田九段は他の棋士より準備期間が短く、持ち時間も求めていた時間より少なかった。入玉に重きをおいたのも、コンピュータ将棋に対する漠然としたイメージだったように思う


第五局 ●三浦弘行八段 VS GPS○

第4局に続いて本格的な相矢倉。ただし、三浦八段は角がにらみ合う脇システムをとった
脇システムはPuellaαが電王戦のために対策をとったとされ、コンピュータ将棋が苦手な戦型と見込んでの選択だろうか
端攻めをにおわすプロに対し、ソフト側が七筋から突っかけて前例のない形に突入した
七筋の突っかけを咎めようと矢倉の金銀を盛り上げ、後手陣の飛角を封じようとしたが、8三金が悪手。角得の手順ながら飛車が玉頭ににらむ位置に入り、6六金から8八歩の手順で振りほどけなくなったようだ(正確なことはよくわかりませんが)

将棋の性質は米長ボンクラーズ戦に近い、金銀の圧力で押さえ込みが破綻したもので、中盤が終盤に直結する粘りの効かない形だった
金を手放したところを咎められるのは第三局を思い出すし、人間相手に効く手とコンピュータの評価の違いを感じさせられた
また、数百台のコンピュータによる分業が強烈で、人間が1時間を要するところコンピュータは数分で決断できてしまう。理屈では弱点を見つけられても、実戦的には想像以上の化け物だった


局後で開発者が答えたようにソフトの出来不出来は激しいし、人間もしかり。これで優劣がついたわけでもない
しかし、プロがソフトに胸を貸す時代が終わったことは明らかだ
この結果は主催者、プロ、(伊藤氏をのぞく)開発者にとっても意外で、仮に次の対戦相手を出すにしても誰を出すというのか
今年と同じ一番勝負×5のチーム戦か、タイトル保持者相手の番勝負か。番勝負にするにしても、GPSの大規模クラスタは連戦可能なのか
羽生三冠がかつて予言した、ソフトが人間を超える2015年に、羽生本人が番勝負で最終決戦をやる。そんな未来もありえそうだ


関連記事 【電王戦】どうなる?人間対コンピュータ
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