【BD】『ジャーヘッド 』

湾岸戦争版フルメタル・ジャケット?

ジャーヘッド [Blu-ray]ジャーヘッド [Blu-ray]
(2012/04/13)
ジェイク・ギレンホール、・ピーター・サースガード 他

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18歳の青年アンソニー・スオフォード(=ジェイク・ジレンホール)海兵隊に入隊し、苛烈な訓練の末に司令部付きの偵察部隊STAに配属された。1990年の湾岸戦争ではサウジアラビアに派兵されたが、砂漠のなかで待機し続けるうちにスオフォードや僚友は疲労と孤独に苛まれる。やがて、砂漠の嵐作戦が始まり部隊は戦場へ行く

湾岸戦争に従軍した元海兵隊員の体験記『ジャーヘッド/アメリカ海兵隊員の告白』が原作で、ジャーヘッドとは海兵隊の蔑称であり、刈られた頭が蓋のついた瓶(ジャー)に見えることから
原作は分からないが、映画の方は反戦色がそれほど濃くなく、軍隊内の描写は『フルメタル・ジャケット』を意識しつつも軽快な音楽ともにリズム良く進んでいく
軍隊の協力を受けているためか、反軍にならないように気を遣われており、サイラス軍曹(=ジェイミー・フォックス)など上司はみなデキた人物になっている
しかし、反戦を前面に出さずとも、軍隊の戦意高揚のための取り組みや兵士たちのストレス、実際の戦場を起こったことを淡々と映すだけで、その悲惨さは伝わってくる
アクション映画の要素はなく、ブラウン管の向こうにあった戦争のドキュメントである

主人公は海兵隊のSTAとして狙撃手の任務を受けるが、実際に敵を射殺することはない
ハイテク化した軍隊ではピンポイントの爆撃がなされ、火器の射程距離からも市街戦を除いて歩兵同士の銃撃戦になることは稀なのだ
湾岸戦争では航空機の力が絶大で、歩兵は退却する敵を追いかけるうちに味方から爆撃を食らう
敵の攻撃より味方の誤爆による被害が強調され、避難した現地人が焼死体として転がっている場面は衝撃的だ(グロ注意!)
燃えた油田で空が暗くなっている場面が印象的で、隊員たちは油の雨のなかで寝床の穴を掘り、一人は死体の隣で寝ようとする
実際の戦場が、いかに陰鬱な場所であるかが良く分かる

裏のテーマとなっているのは、兵士が戦場で受ける心的外傷(PTSD)
たとえ、砂漠の兵営で待機しているだけでも、兵士は郷里や家族と隔てられて神経をすり減らしていく
BDには映像特典として、サム・メンデス監督が取材した五人の元兵士の証言が収録されていて、映画では駆け足になっていた復員後の苦しみを知ることができる
戦場での異常な緊張を経験した兵士たちは、本国に帰ってもその感覚を捨てることができず、道を歩けば建物の屋上に、部屋から出るときもドアの向こうに、危険を感じてしまう
また、帰還兵の地位はけっして高いものではなく、軍隊で小隊を率いていても世間ではただの新兵から始まる。アメリカでも大学を出なければ、まっとうな職につけない学歴の壁もあり、時給10ドルの仕事を見つけるのがやっとだ
国の命令で戦地に来た帰還兵たちの名誉を守り、責任をもってフォローすることを、そして戦争がいかに兵士の精神を蝕むかを訴えている


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ジャーヘッド-アメリカ海兵隊員の告白ジャーヘッド-アメリカ海兵隊員の告白
(2003/06/25)
アンソニー・スオフォード

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