『コンピュータVSプロ棋士―名人に勝つ日はいつか』 岡嶋裕史

名人戦でひふみんの解説を聞きながら


コンピュータVSプロ棋士―名人に勝つ日はいつか (PHP新書)コンピュータVSプロ棋士―名人に勝つ日はいつか (PHP新書)
(2011/01)
岡嶋 裕史

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人間の頭脳に挑むコンピュータ将棋はいかに進歩してきたか。チェスプログラムの始まりから、あから2010の清水戦までの歴史に迫る
本書は情報ネットワークの専門の学者さんが、コンピュータ将棋の側からその進歩と実態を解説するものだ
コンピュータ将棋を知らない人への入門書というコンセプトなので、自虐の入った砕けた表現も多く、将棋に詳しくない人にも入りやすい
コンピュータはアラン・チューリング(HOI2の研究機関で出てくる!)の代からチェスとのつながりが深く、早くからコンピュータにチェスを指させる研究があった
情報処理の発達とともに強いコンピュータ将棋が登場するのも宿命的なものといえそうだ

本書の主役をつとめるのは、渡辺竜王相手に奮戦し、あから2010にも組み込まれたボナンザ
ボナンザはコンピュータ将棋の実力をトップアマを超えるまでに高めた画期的なソフトで、故・米長会長を倒したのもボナンザをベースにした六台のクラスタだった
この将棋ソフトの特徴は、ハードの性能の関係で将棋のセオリーなどから読みの方針を絞る「選択的探索」を止め、すべての手を射程に入れる「全幅探索を行なっていることと、「自動学習機能」を持っていることだ
かつては、すべての手を読み始めると対局にならないほど考えてしまうソフトだったが、近年はハードの進歩で「全幅探索」が可能になり、それに「アルファベータ法」という点数の低い悪手を消していく手法を織り交ぜて中盤の棋力は大幅に向上した
自動学習機能は、読んだ局面を正確に判断させるためのもので、膨大なプロの棋譜を参考にして同じ着手が取れるように各係数の配点をコンピュータにさせる。簡単に言えば文字変換ソフトの延長にあるものだ
このことにより、かつては有段者が職人芸的に行なっていた調整を初心者に毛の生えた研究者が行なえるようになり、プログラマの負担は格段に減ってより違う箇所に力を注げるようになった
皮肉なことに将棋のプロを倒したソフトは、プロの棋譜によって鍛えられていたのだ

さて、それでは将棋ソフトが完全に人間を超える日が来るのだろうか
著者によると、その日はまだまだ先のようだ
まず、現行のソフトはプロの棋譜を参考にして人間の思考に近づけるようなベクトルで発達しているので、人間の想像を超える戦法、好手は理屈の上から出ない
あから2010が清水女流王将に勝ったのも、人間側がソフトの土俵に乗っかってくれた部分があり、ラディカルに隙を突かれたらこうはいかないという評価がされている
ちなみに、チェスの世界ではいまだ人間に完勝するチェスソフトは登場しておらず、現状は人間とソフトが協力しあうと人間単独、ソフト単独に勝るらしい
囲碁、将棋はおろか、チェスですら完全定跡を見つけるには程遠く、今のコンピュータに考えさせたら宇宙が終わるのが早いとまで言われている
将棋は永遠に不滅と言って差し支えないないだろう


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