『軍靴のバルツァー』 第4巻 中島三千恒

渋い政治的駆け引きがたまらん


(画像はアマゾンアフィリエイトのリンクです)

4巻目で一気に硝煙の匂いが立ち込めてきた
バーゼルラントの第二王子ライナーと軍国ヴァイセンとの間に相互防衛協定を結んだ直後に、海を隔てたホルベック王国が条約を破棄して軍国の衛星国ノルデントラーデ公国に進軍を開始。バルツァー少佐は防衛協定に基づいて派兵されるバーゼルラントの連隊を率い、第二次ノルデントラーデ戦争に出陣する
バーゼルラントの連隊のなか、小隊を率いることになったのは、あの士官学校の生徒たち!
十代の青二才が古参兵50人をいきなり任されて右往左往する様は、読んでいるこっちがハラハラする。しかしこれはただの無茶振りでなく、確固した軍隊の制度であって、太平洋戦争でも末期はなんとなく学歴のいい人が即席の将校にさせられたりしたものなのだ
こちらを驚かしながら、軍隊の現実に則った作劇を両立していて、ほんと大したもんだよ
バルツァーを補佐&監視する新キャラも登場し、顔の描き分けが苦しくなってきたものの(苦笑)、立場ごとの見え方の違いが意識されていて、期待以上にいい群像劇となってきた

第二次ノルデントラーデ戦争のモデルは、シュレースビヒ・ホルシュタイン戦争だろう
ホルベック王国のモデルはデンマークで、当時はユトランド半島の付け根まで領土を有していたが、1848年の八月革命以来ドイツ系住民の独立運動が盛んになっていた
あろうことかデンマーク王室の傍流にあたるアウグスト公が独立王国の君主に担がれ、デンマーク軍と戦闘に入る。これが第一次シュレースビヒ・ホルシュタイン戦争
しかし、列国はデンマークの分裂を望まず、シュレースビヒとホルシュタインの両公国(&ラウデンブルク公国)を独立国として統合しデンマーク王が君主となる形で決着した
第二次シュレースビヒ・ホルシュタイン戦争は、ドイツ系住民のナショナリズムに対してデンマークが公国を併合しようとしたことから勃発する。ドイツ諸侯に反プロイセンの動きがあることを察知したビスマルクは、オーストリアを巻き込む形で参戦し勝利した
デンマーク側はイギリスの援助をアテにしたようだが、結局シュレースビヒ・ホルシュタイン公国とラウデンブルク公国の権利をすべて放棄し、プロイセン・オーストリアの共同統治下に置くこととなった

漫画のなかでは、エルツライヒ(オーストリア)の使嗾でホルベック(デンマーク)が動いたようになっているが、史実ではそういうことはなかったようだ
ただし、共同統治の三公国の処置が、普墺戦争の引き金となる
いやあ、ここまで史実を丁寧に組み込んでくるとは思わなかった
普仏戦争までやるとすると、10巻ぐらいは続いてくれそうで先々が楽しみだ


前巻 『軍靴のバルツァー』 第3巻
次巻 『軍靴のパルツァー』 第5巻

ヴィクトリア2 WITH ハウス・ディヴァイデッド【完全日本語版】ヴィクトリア2 WITH ハウス・ディヴァイデッド【完全日本語版】
(2012/04/06)
Windows

商品詳細を見る
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
カテゴリ
SF (24)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。