『おどろきの中国』 橋爪大三郎 大澤真幸 宮台真司

インド人もびっくり!?

おどろきの中国 (講談社現代新書)おどろきの中国 (講談社現代新書)
(2013/02/15)
橋爪 大三郎、大澤 真幸 他

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中国を動かす原理とはなんなのか。日本はどう付き合っていけばいいのか。三人の社会学者がディスカッション
奥さんが中国人であり中国研究のスペシャリストでもある橋爪大三郎氏を中心に、宮台、大澤両氏が聞き手に回る形で構成されている
まず第一部において、現代にいたる中国の歴史に触れるのだけど、橋爪氏の語りが大づかみ過ぎるように感じた。朱子学を儒教の純化としたり(実際は仏教等の影響も大きい)、王朝の変遷を同じ類型の再生産と見たりと、いくつかオヤという箇所があった
キリスト本でも叩かれていたが、社会学者で囲むより一人、歴史研究者を入れたほうが良かったかもしれない
ただし第二部以降の近現代に入ると、守備範囲に入ったのか鋭さが増していく
改革解放以前の経済体制や権力構造などにメスが入り、直に体験した中国人の価値観や習慣と照らし合わせた論証にはそれぞれ説得力があった
本書には日本人からは分かりにくい、中国の複雑な事情を理解するヒントが詰まっている

毛沢東と文革に対する評価がなかなか刺激的だ
文革は明らかに失政であるけれど従来の価値観を一掃した面があって、中国人が改革解放以後の市場経済に適応できた一因に数えられる
鄧小平が(政治的な事情はあるにしても)文革を全否定はしていなくて、毛沢東がアメリカに接近したことが改革解放を後押し部分もある
また、文革下でも完全な計画経済ではなくて、生活用品レベルの商品経済は存在していて、小規模での市場経済が機能していた
アーレントの『全体主義の起源』を引いた文革体制の評価では、スターリンの全体主義に比べ秘密警察ではなく紅衛兵などの大衆を動員したところに大きな特徴があって、大衆は毛沢東だけを例外的に聖人の地位において側近に間違いを押し付けて粛清していく
それを天に権威の源におく皇帝の伝統と指摘されていたけれど、歴代の皇帝にとって「歴史」にどう語られるかというのが重かったわけで、毛沢東が儒教的な伝統を一掃した共産党初代皇帝であったために「歴史」の束縛を受けなかったように思えた

本書は現在進行形の答えの出ない問題を扱っている
文革の実態も分からない部分が多いし、改革解放が始まって30余年で今は調子が良くても将来的な評価がどうなるか分からない
「世界の工場」ゆえに世界経済の影響を受けやすく、少子高齢化も大気汚染も急速に進んでいる
日本にいると自国の欠点ばかり目がいって、お隣の方がグローバルに上手く対応しているように見えるけど、向こうにも向こうの事情、弱みがある
どこのボタンを押すと怒るかを知っておくことが大事で、こちらの名分を訴えるだけでは何も解決しない
日本人が「政治」と「経済」「文化」は別と考えても、中国にとっては「政治」は全てに優先しそれはこの先変わらないと思われるので、それを踏まえた上で付き合っていくべきだろう


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小室直樹の中国原論小室直樹の中国原論
(1996/04)
小室 直樹

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