『海東青―摂政王ドルゴン』 井上祐美子

実際、満州族が鷹狩りに重用した鳥のようで

海東青―摂政王ドルゴン (中公文庫)海東青―摂政王ドルゴン (中公文庫)
(2005/09)
井上 祐美子

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清朝の太宗ホンタイジを支え、幼い順治帝の摂政をつとめた親王ドルゴン。太祖ヌルハチの14子である彼は15歳のとき、ヌルハチの遺命で母が殉死し、ホンタイジに才能を見出された。明清交代のただ中を生き、中華統一を果たした男のハヤブサのような人生を描く

題名の海東青は、ユーラシア北部に生息するシロハヤブサのこと。まさにハヤブサのように駆け抜ける物語だ
ドルゴンはホンタイジの跡をおった順治帝の摂政をつとめ、明を滅ぼした李自成を討ち明清交代を決定づけた大政治家で、明の制度を取り入れつつ支配下の漢人に辮髪を強要するなど、その後の清朝の体制を確立させた人物だ
順治帝が16歳のとき、39歳の若さでこの世を去り、生前の謀反を疑われて爵位を剥奪されている
本作は皇帝をしのぐ権力をもったドルゴンを、野心家ではなく国家のなかで求められた本分を果たす“最強のナンバーツー”としている
彼の人生は清国の成長曲線と軌を一にしていて、国が大きくなるごとに見える視野が広がり、本作は清朝そのものの青春小説のようだ

乾隆帝の代まで謀反人の汚名を着せられたドルゴンが、本当に不遜な野心家だったか、というのが本作のテーマの一つ
野心というのは、身分不相応な志のこと。摂政王でありそれに相応しい能力を持っていたわけで、国政を総攬したことは野心とはいわない
自身が皇帝にあるいは、子孫を皇帝につけるとなると、分を超えた“野心”“野望”ということになるが、本作のとおりこの線は薄いと思う
ただ、摂政の地位と自分の部族、係累、郎党を守る意識はあったはずで、熾烈な権力闘争を続けていたことは間違いない
少し残念なのは後半生が駆け足なせいで、爽やかな青年期と政治家として成熟した壮年時代のドルゴンが接着できていない点で、母親に似た荘妃(ホンタイジの妻)や幼帝フーリン(=順治帝)との因縁が薄くなって勿体無かった
ドルゴンの人生は短いようで長い。もう一巻、尺が欲しい作品だ
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