『蒼穹の昴』 第3巻・第4巻 浅田次郎

陳さんの解説の99%が薀蓄でワロタ

蒼穹の昴(3) (講談社文庫)蒼穹の昴(3) (講談社文庫)
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浅田 次郎

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蒼穹の昴(4) (講談社文庫)蒼穹の昴(4) (講談社文庫)
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光緒23年、西太后の勇退が決まり、光緒帝の親政が始まろうとしていた。しかし、復帰を警戒する変法派は鉄道を見学する太后に爆弾テロを仕掛け、保守派と変法派の権力闘争が表面化する。光緒帝の勅令と太后の懿旨が乱れ飛ぶ二重権力状態となり、百日維新は大混乱に陥った。変法派は北洋軍閥の実力者・袁世凱に起死回生の望みを託すが・・・

清朝末期を舞台にした壮大な歴史絵巻の幕が下りた
最初にことわっておかなくてはいけないのは、普通の歴史小説ではないということだ
オリジナルの人物を史実に放り込むスタイル解説の陳瞬臣が先達だけど、まったく方向は違う
「歴史」の実相に近づくために「小説」したわけではなく、「小説」を描くために「歴史」資源を動員している。『壬生義士伝』同様に、あくまで「小説」としての面白さにこだわった作品であり、だからこそ、乾隆帝の亡霊や占いババア、女スパイなどが無双しているのである
人物像については1・2巻に比べ、中国人を日本人の延長で書かれており、身近に感じると同時に違和感を覚えた。外国人同士が会話するのに、この壁の無さはなんだろうか
百日維新の顛末以外で、ここから当時の雰囲気を想像するのは慎重であるべきだろう。清朝だけに(えっ

梁文秀のモデルは名前がかぶさる梁啓超だけではなく、変法運動に参加した様々な人物の逸話が取り込まれているようだ
日本へ亡命するところは梁啓超そのままだが、外部で弁論活動をしていた人で中央官僚の文秀とは毛色が違う
春児の上司である宦官・李蓮英は、百日維新後も西太后の信任厚く、少なくとも義和団の乱までは後宮をまとめていたようだ。一説には彼が宗教を通して義和団とつながっていたといわれる
二人の主人公を立てるために、フィクションの闇に葬られた悲運のキャラクターといえよう(笑)

この作品で影の主役といえる存在が二人いる。乾隆帝李鴻章
特に李鴻章の、香港を割譲させようとするイギリスに対し百年の租借で済ませるところが白眉のシーンだと思う
割譲なら二度と戻ってこないが、租借ならば立派な都市ともに返ってくる
この小説が刊行されたのは1996年であり、香港が返還される前年李鴻章の思惑が百年来に実ったわけであり、多くのフィクションを伴うなかでここを抑えた着眼点は素晴らしい
清国は衰亡するが、彼らの行いが今の繁栄(昴)につなげる史観を示した点はただしく歴史小説なのだ
アクの強い泣き演出があって王逸の脱獄とか順桂の爆死とかでやらかしていたりと、人を選ぶ作品ではある
それでも、真面目な大河小説だとハードルを上げずに、『蒼天の拳』だと思って鷹揚に構えれば十分につきあえるはずだ


前巻 『蒼穹の昴』 第1巻・第2巻

続編 『珍妃の井戸』
   『中原の虹』 第1巻

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(2011/02/04)
田中裕子

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