『トヨタの闇』 渡邉正裕 林克明

表のメディアでは出てこないトヨタねた

トヨタの闇 (ちくま文庫 わ 9-1)トヨタの闇 (ちくま文庫 わ 9-1)
(2010/05/10)
渡邉 正裕、林 克明 他

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自動車生産数世界一の影には、従業員への過酷な労働環境があった。莫大な広告費でマスコミを封じるトヨタの実態を告発する
本書はニュースサイトMyNewsJapanの連載企画を単行本化したのち、トヨタリコール問題後に加筆し文庫化したものだ
製造業で働いている人ならば、書かれている内容にそれほどショックを受けないだろう。中小はもっと酷いし、そこそこお金をもらえて安定しているなら上等ではないか、そんな声も上がりそうだ
そういう考え方に到ってしまうところに問題の根の深さがあって、トヨタの問題は日本の企業文化そのものの問題といえる
本書で告発される過労死、労災認定訴訟の問題は、だいたいの企業にあてはまることなのだ
日本企業の合理化、コストダウンは、総じて労働者の血で購われている

あえてトヨタの特殊性を挙げるなら、昔ながらの企業共同体をいまだに維持しているところだろうか
豊田市を企業城下町として、地元に専門の高校を作ってトヨタイズムを注入し、子飼いの工員にカイゼンを徹底させる
共同体意識を保つために業務外活動もさかんで、駅伝大会で優勝して社員になった期間工もいるという
ただし、この半強制的な業務外活動が従業員に重くのしかかり、過労死や自殺を生む原因になっている
また、トヨタの代名詞であるジャストインタイム=カンバン方式も合理的で無駄がない反面、ミスがないことを前提にした過酷なタイムスケジュールを組ませることにつながっている
「100%に満足する人間より、反省して改良点を見つける人間が尊い」とするカイゼンの思想には感心するものの、意地でも改善点を見つけなくては叱られる、カイゼンに容赦なく駆り立てる現場には病的なものを感じる
確かにこれは外国に真似できないだろう。世界的奴隷合戦に勝つにはここまでしなくてはならないのか

読んでいて驚くのは、トヨタがここまで大きくなりながら、中小企業的な性格を保っていること
現場主義を貫き本当に小さいことからコツコツとカイゼンを積み重ねて、二兆円もの営業利益(2007年)を生み出している。とんでもないことである
しかし社員に対する扱いは、これが世界に冠たるトヨタかと思うほど旧時代的で、独身者は狭く不便な寮生活と粗食を強いられる
おそらく、物のない時代の感覚が続いていて、社員に贅沢を覚えさせると仕事に専念しなくなるという発想があるのだろう。人間を信じないのもある種の良識かもしれないが(苦笑)、何年も真面目に勤めた人を雑巾を絞るように使うのはいかがなものか
会社が組合つぶしをやるのは世界的な傾向で、企業別労働組合の問題は日本の企業風土にあってトヨタ独自のものではないが、世界の一流企業がこの様では駄目だろう


関連サイト MyNewsJapan

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(2011/09/15)
鎌田 慧

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みんながみんな絶望工場ではないけどね
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