『セックスレス亡国論』 鹿島茂

こういうネタは読むのも早い

セックスレス亡国論 (朝日新書)セックスレス亡国論 (朝日新書)
(2009/07/10)
鹿島 茂、斎藤 珠里 他

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出生率が激減する日本で、いったい何が起こっているのか。性の視点から今の世界を捉えなおす
性に関する著作が多い仏文学者・鹿島茂を、セックスレス問題を追いかけるジャーナリスト・斎藤珠里がインタビューする形で、性の現状、歴史が語られる
対談形式でありある程度は引用元が参照されるものの、すべてが統計的なデータで裏打ちされたものではなく、推測と仮説が部分は多い
しかし、仮説だからこそ、大胆に踏み込んだ世界像が導き出され、ひとつの真実に達しているように思えた
性を論じることは人間の本質を論じることであり、本書はあらゆる学問の前提を揺るがす力を持っている。まさに性典である

目から鱗だったのは、人間は「豊かさ」を欲望するのではなく、「面倒くささ」を無くそうとする欲望が強いという指摘
現在の資本主義は第三次産業=サービス業の比重が高いわけだが、その実質は「面倒くさいことの代行業」によって成り立っている
物不足が解消された状況では、豊かさより「便利」になることが社会のベクトルであり、面倒くさいことを省く方向で産業が発展していく
子育て、育児の産業化に続いて最後に残された領域は、セックスと恋愛であり、今の産業社会の構造そのものがセックスレス、少子化を助長しているというわけだ
なぜ、セックスが面倒くさいのか?
まず原理的に男と女では求めるエッチのポイントが違う「性の非対称性。男は出せばオーガズムを得るが、女はそうはいかない。男はあえて女のために奉仕せねばならない
もう一つは恋愛の自由化
自由であるがゆえに、エッチにこぎつけるまでの前段階が複雑になり恋愛のハードルが上がった。多くの男性が必然的に非モテ状態に陥り、エロ産業を利用するに到っているというわけだ
この問題は二次元に耽溺する人間に留まらず、エロサイトを利用する幅広い層に当てはまるだろう
複雑なのは、「面倒くささを無くす欲望」と今の資本主義が不可分に結びついていることで、誰かが怠けたいと思わないと産業が回らない構造になっている

本書では、共同体が健在だった時代の風習が再評価される
前近代の宗教社会が課す禁欲は、人が怠けたいと思う欲望、男性ならオナニーでもよしとする怠惰さを封殺する役目を果たしており、人を生殖に仕向け共同体を存続させる役割を果たしていた
日本において宗教の縛りは少ない代わり、「若衆宿」や「夜這い」で若者たちは性に対する流儀を学び、セックスへのネガティヴイメージを無くした。近代以後の「お見合い」は恋愛要素にも配慮した形態であり、女性が何十人と断っても問題にならなかったし、その構造は60年代の「ダンスパーティー」に引き継がれた
もっとも、この時代は欲望が素朴だったこともあり、結婚に対する動機が経済を除くと男女とも「セックス」だったという身も蓋もない事情があるのであって、そのまま処方箋になるわけでもない
本書においては、少子化=亡国という前提で話が進められている
セックスレスの割合が多いのは不健康かもしれないが、日本が人口過多であるとするならば少子化が悪とは言い切れず、「面倒くささ」を省く構造もある種の役割を果たしていると見なすこともできる
ここは意見の分かれるところだろう
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