『大阪学』 大谷晃一

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大阪学 (新潮文庫)大阪学 (新潮文庫)
(1996/12)
大谷 晃一

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なぜ大阪はオモロイのか。日本の中で異彩を放つ大都市を歴史、文化、風俗から学ぶ、個別都市学の魁けとなったベストセラー
京都人から見ても、大阪は異質なものがある。北摂に入っただけで違う空気が流れている
違法駐車から善悪より損得を優先する気風、他府県を圧倒する歩くスピードから「いらち」な性格、関西芸人の自分を貶めてとる笑い、きつねうどんに見る食い倒れの合理性、すべてが商人の町であったことから始まっている
本書は前半のそうした観察から、後半に全国区に出た経済人、発祥の歴史、近世から近代に到る文化人を取り上げ、いかにして今の大阪ができたのかを、解説する
そこに現れるのは、オモローな大阪に留まらない
近世の大阪はもっとも近代に近づいた都市空間であり、あけすけに今を描く作家(井原西鶴・上田秋成)合理的で唯物論に近い思想家(山方蟠桃)を生み、緒方洪庵の適塾は多くの著名人が輩出した
江戸の大阪は政治情勢に左右されにくい経済特区であり、その伝統は近代以降も生き続け日本に刺戟を与えてきたのだ

昔の芸人さんから「昔の大阪はこうではなかった。戦後になって乱暴になった」という話を良く聞く
しかし、本書を読む限りはそうでもない(苦笑)
河内弁や他県の言葉が流布して言葉遣いが変わったのは確かでも、他府県から大阪の印象は昔から猥雑であったようだ
合理主義で損得勘定が強くて、裏表がなくていらちな大阪商人
意外なのが指導者となると、この商人の合理性から離れていくことだ
楠木正成は商業を基盤とした悪党で、鎌倉幕府の大軍をきりきり舞いさせた名将なのに、湊川の合戦においては後醍醐天皇への忠誠から、負けると知って戦いに赴く
大塩平八郎は飢饉時にコメを買い占める商人を懲らしめるべく、無謀な反乱を起こし悲劇的な死を遂げた
この点はしたたかな大阪商人とは対照的で、著者も歯切れが悪い
合理主義で貫徹する商人気質が、裏表を要求する政治の世界では裏目に出るのだろうか
イデオロギーよりも自分の手の届く範囲のリアルを重んじるがゆえに、フィクションであれ名分が必要な政治のメカニズムと体質的に合わないからで、あっけなく死んでしまうのは、商売の切った貼ったから来る生命観からかもしれない

「おおさか」という地名は、浄土真宗の蓮如上人が読んだ歌から来ているらしい
淀屋橋は文字どおり、「淀屋」という商人が架けた橋で、梅田は埋め立て地の「埋め田」から、本書では近世にかけて建設されていく都市大阪を描きつつ、地名の由来もさりげなく解説してくれる
大阪は徐々に埋め立てられて拡大しており、ミナミは元の大阪で、キタは埋め立てた「新地」
キタには他府県から人が流入してマイルドな関西文化を作るが、ミナミはどギツイ、生の大阪文化が育まれている。『ミナミの帝王』は、ミナミである必然があるのだ
やはり、独特の地域である。橋下市長の政治手法が大阪で成立し、全国区でいまいちだったのは、政治文化の落差が大きいのではないだろうか

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