【DVD】『東京物語』

BSなら定期的に観られそうだけど、そういう環境でありませんので

東京物語 [DVD]東京物語 [DVD]
(2011/02/26)
笠智衆、東山千栄子 他

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広島・尾道に住む老夫婦、周吉(=笠智衆)とみ(=東山千栄子)は、成人した子供たちに会うために東京へ行く。しかし、長男の幸一(=山村聰)は医者の、長女の志げ(=杉村春子)は美容院の仕事で忙しく、かまう暇がない。戦死した三男の嫁、紀子(=原節子)だけが会社を休んで二人を歓待したのだった。それでも自分たちの生活を乱されるのを怖れた幸一と志げは、周吉ととみを熱海旅行を持ちかけたが、旅先の喧噪に気疲れしたとみは気分を悪くして・・・

年を取ったためだろうか、昔見たよりも衝撃が強かった
この映画には「日常」しかない
修羅場は一切無い代わり、ふとしたことで隠れていた本音や欲望が飛び出す。その突然空気を破られ、老夫婦と息子娘たちの温度差が明らかになっていく
芝居的に作られた「日常」ゆえに、この奇襲は恐るべきリアルさを生む
時は経ち、子供は大人になり、親は老い死んでいく。当たり前すぎる「日常」の残酷さが突きつけられるのだ
「老い」、これを実感できる歳にならないと、入りにくい作品かもしれない

小津作品の特徴とされる「奥行きがようやく理解できるようになってきた
登場人物がしゃべるときにバストアップのカットが入り、その後必ずその場にいる人間がどの位置にいてどういう姿勢で聞いているか見せるように離れたカットに移るのだけど、その時の立ち位置は必ず手前と奥で横に並んだものはない
こうすることで場面を立体的に、より現実に近い空間を作り出している
舞台演出だと左か右かが中心になるから、これはまさに映画だからこそ可能な表現で、穏やかな家族ドラマにダイナミズムを持ち込んでいる
ふと入るロングショットは、パースが見える気になるほど絵画的で、展覧会にでも行ったような気分になってしまった

この老夫婦と息子世代の温度差は戦前戦後の価値観の違いではないと思う
もともと日本の家族がもっていた関係の希薄さが、家族が違う場所へ住むことで露呈してしまったということなのだ
とみが死んだ時みなが泣くように親子関係が薄情というわけではない
家族に対する考え方の問題で、日本人はまず地縁が第一で、住んでいる場所、勤めている職場の人間関係を大事にする
象徴するのが、親の死に目に立ち会えなかった三男・平山敬三(=大阪志郎)で、彼は言葉さえも赴任先の関西に染まりきってしまった
しかしながら、不気味なのは原節子演じる次男の未亡人紀子である
息子世代の本音を末っ子京子(=香川京子)に言い聞かせる形で彼女が代弁するのだ
「みんな、自分の生活が大事なの。みんな、そうなってしまうの」
独立間もない1950年代にしてキャリアウーマン、未来を生きるような彼女は個人主義の必然を宣言しつつ、周吉に対しては「どこかで何かを待ってしまう」と孤独の辛さを告白する
その個人主義を持つ彼女、「他人」が老人に一番優しいというところに、現代の高齢化と介護の問題が予見されていたかのようで、ほろ苦さが残った


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