ガンダムは一日にしてならず 『無敵超人ザンボット3』のまとめ

実のところ、ヤマトもガンダム以前のスパロボもガキの頃に再放送を観ただけで網羅できていません
長浜監督がどこまでやられたのか、まるで分かっていませんが、とりあえず


1.富野作品の起点

初監督作品だった『勇者ライディーン』が途中降板となり、今作が実質的にロボットもの第1作といえる
小説などで処女作に作者の特性がラディカルに出ると言われるが、『ザンボット3』はまさにそれで、後の諸作品で表現された要素が2クールに濃縮されている
現代の日本で巨大ロボットが戦闘を始めたらどうなるか、絵空事を現実化したように着地させることで視聴者を引きずり込むと同時に、社会的な問題を提示している
この社会派志向大人社会の問題をアニメにねじこむ作法は、富野作品の根幹であり、『ザンボット3』において最も生々しく表れていた
それだけでなく、戦場の中に子どもがいて手伝いをするなど、後の作品に見られる風景が散りばめられていて、ハッとさせられる場面も多い


2.リアルロボット以前

されど、「リアル・ロボット」であるかというと、まだそうではない
ザンボットはガンダムのように取り替え可能な兵器という位置づけには至っておらず、作中でも量産計画があるというに留まっている。相手のメガ・ブーストもまたそれぞれがオーダーメイドの特別機と見られる
デザインもトレードマークの三日月があるものの、マジンガーZの影響は大きくて既存のロボットものに留まっている
表現において顕著なのは、特攻に対する扱いだろう
既存の武器で打開できない時、いざ特攻と相成るのだが、キャラクターの死に花を咲かせるためか作戦的に必ず成功するのである
ガンダムシリーズではこうはいかない。効果がある場合にも相手の気を反らせる程度だし、全く無意味であるケースも多い
こうした特攻の表現では、まだヤマトに近い


3.エヴァンゲリオンとの比較

期間が2クール、スペシャルな自機と敵、二人の味方とのチームワーク、家族を中心とした組織、と形式を数えれば共通するところは多い
反戦の要素でも、勝平たちが睡眠学習で戦闘を恐れないように教え込まれていたように、『エヴァ』でも学校が実はエヴァに搭乗する適性のある子どもを集めていたという、戦前の国民学校を連想させるような設定がある
大きな違いは主人公の性格で、刷り込まれているとはいえ恬淡で戦いに前向きな勝平に対し、シンジは内向的かつ自閉症気味で『ガンダム』のアムロ以後登場した類型だ。これは単純に年代の違いだろう
作品の方向性では、『ザンボット3』が「社会派志向」を堅持し続けたのに比べ、『エヴァ』は劇場版において「私小説的告白」に収束した
「社会派志向」も内包していて社会現象を呼んだが、製作者側が力尽きてしまって「純文学志向」だけが残った観があった
しかし、こうした決定的な違いがありながら、どこか両者に親しいものを覚える
『ザンボット3』はリアル志向への半ばに位置する作品であり、『エヴァ』はリアル路線が頂点を過ぎてスパロボへの回帰した作品である
『ザンボット3』におけるリアルロボとスパロボの比率が、実は今求められている黄金比に近いのではないだろうか


4.世間と軍人の軋轢、戦争の傷跡

神ファミリーは理想的な家族関係を築く反面、世間とは激しく対立していく。ガイゾックと同じ存在と捉えられ、体を張って戦っているのに何度も石を投げられる
なぜ、戦う主人公がかくも嫌われるのか
ザンボットの世間が戦争を忌避して想像すら嫌った戦後日本の風土そのものだからだろう
世界大戦において国家と国家の争いの中で国民が喰い殺される悲劇があり、その反動は戦争や世界への想像力を衰えさせた。それに対する批評であることがひとつ
同時に、いつの時代も民衆とは事態を把握するのに時間がかかるという大衆観がある。香月たちとの和解が最終回につながり、犠牲を払うことで神ファミリーと世間との隔絶は埋めることができた
ガイゾックの問いかけは、戦う者と守られる者の両方に向けられていて、守られる側には「守ってもらって当たり前でいいのか」戦う者へは「戦うことが自己目的化していないか」ということが投げかけられている
いわば国家と国民、公共機関とそれを利用する大衆がわかり合って、いかに善き関係を築くかがテーマなのだ
何?それって、アーレントじゃないの!
『ザンボット3』こそ、今観られるべき作品なのだ。エヴァを観に行った人は、観れよや!


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