『幕末バトル・ロワイヤル』 野口武彦

何を読んでいくか迷っていたけど、年内は「アメリカ」「幕末」関連の積読を崩していこうかと

幕末バトル・ロワイヤル (新潮新書)幕末バトル・ロワイヤル (新潮新書)
(2007/03)
野口 武彦

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幕府滅亡の要因は天保の改革にあった!?水野忠邦の改革から阿部正弘で黒船来航を迎えるまでの権力闘争を描く
本書は『週刊新潮』2005年9月8日号から2006年7月27日号まで連載されたコラムをまとめたものだ
日本史の教科書や専門書に載る表の出来事ではなく、週刊誌が扱うような政権交代の裏幕や大奥を巻き込んだセックススキャンダル、江戸の底辺労働者や下半身文化などを追いかける
江戸時代の“噂の真相”といった内容なのだ
特徴的なのは、保守反動の独裁者とみられている水野忠邦を海外情勢に対応しようとした改革者とし、『風雲児たち』などで開明的な政治家に描かれる阿部正弘を幕府滅亡の引き金をひいた人物とみなしていること
倒幕・開国を前提にみる史観の多いなか、現代には珍しい幕府側から見た史観を披露している

なんといっても面白いのは、第一部の「天保政怪録」
まず、水野忠邦がいかにして先輩老中に取り入って、幕府内で出世していったのが描き、老中を終点とする出世レースの仕組みや役職の階層、江戸後期における転封の意味合いを解説している
江戸後期において転封は、外様に振るわれることは希で、譜代大名の格付けを変更するときに行なわれていた
ただ、転封を行なうにしても格の高い譜代大名を格の低い僻地に飛ばす口実が必要となり、そこに陰惨な暗闘が繰り広げられる必然がある
水野忠邦は肥前唐津藩25万石では長崎警備の役目が出世の妨げになるとみて、家老の諫死を振り切り遠江浜松藩15万石への転封を強行している
水野忠邦は反動的な文化統制や経済政策を庶民に押しつける傲慢な改革者にみられていて、本書ではその点は同じなのだが、失脚の引き金となった「上知令」に関しては、外国に備えるためのものと評価している
上知令は、江戸・大坂の周辺の錯綜する大名の飛び地、旗本領を整理し天領として管理するもので、アヘン戦争で清がイギリスに敗北したことを受けての対策だった
かといって忠邦は松平定信ほど攘夷色は強くなく、外国船に対する「薪水給与令」を出して硬軟両様の構えをとっている

水野忠邦に続き、本書のもう一人の主人公が水戸藩主徳川斉昭
『桜田門外の変』など歴史小説では堅物の攘夷主義者のように描かれる斉昭だが、最初の謹慎は外国に対する強硬姿勢ゆえではなかった
なんと大奥最高位の女官である上﨟年寄の唐橋を口説き、孕ましてしまったからだというのだ!?
水戸藩には「定府の制」があり藩主は江戸に在住すると定められていたが、唐橋を茨城に連れて出てこないため駒込の別邸へ幽閉されることになったとか
著者もヨタ話と疑ったが、違う史料にも同じ様な話が出て来てしまい書く気になったらしい
ただ、大奥を通した政治工作というのは、名だたる政治家が行なっていて、まったくリアリティのない話ともいえないようだ


次巻 『井伊直弼の首-幕末バトル・ロワイヤル』
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