『ヒトラーとケインズ』 武田知弘

懲りずにもう一冊買ってみた

ヒトラーとケインズ(祥伝社新書203) (祥伝社新書 203)ヒトラーとケインズ(祥伝社新書203) (祥伝社新書 203)
(2010/06/01)
武田知弘

商品詳細を見る


20世紀を代表する経済学者のケインズと史上に残る独裁者ヒトラー。恐慌に対して二人が示した方策は期せず一致していた。ケイジアンの優等生だったナチスの経済政策を再評価する新書第二弾
今回は面白かった
というのも、現在陥っている世界的な経済危機と比較する視点があるからだ
内容も若干重複する箇所はあるものの、ナチスドイツの貿易政策などの同時代を見渡す視野の広さがあって、考えさせられるところも多かった
ただ前巻もそうなのだが、書き方が断定的で分かりやすい反面、はっきり言い過ぎて信憑性が怪しく聞こえるのが惜しい
後ろにびっしり参考文献が載せているのはいいけれど、少しは具体的に引用してみせた方が説得力があるのでないだろうか。せっかく調べているのに、これでは胡散臭い雰囲気がぬぐえない(苦笑)

ケインズというと、不況期の積極財政、乗数効果に期待した公共事業、なんてイメージが湧くが、本書ではそれに留まらない多岐な活動に触れられる
例えば、1944年のアメリカ・ブレトンウッズで開かれた戦後の新しい国際経済秩序を作る会議上でケインズはイギリス代表として出席した
そこで提出した新国際金融システムは・・・

1.各国の決済は中央銀行が一括して行なう。各国の貿易業者同士、民間銀行同士が独自に決済をしない。貿易業者、民間銀行は、中央銀行で決済を行なう。
2.金で決済は行なわず、バンコールという国際決済のための通貨を使って決済を行なう。
3.各国は、輸出と輸入の均衡をはかる義務がある。つまり貿易黒字、貿易赤字が大きくならないようにしなければならない。
4.国際間の資本の移動は規制する。
(p148-149)

実はこのケインズ案は、ナチスの貿易政策ととても似かよっているのである
ナチスでは貿易の決済をドイツ中央銀行で一括して行い、金や外貨の流出を管理して通貨を安定させていた
決済のために特殊なマルクを用意して、相手国の中央銀行と差額を調整させている
当時は金本位制でありながら、英米がブロック経済を志向したので、金や外貨の持ち合わせのない国は貿易できなかった。それに対して活路を開いたのがナチスの欧州新経済秩序で、第二次大戦は既成の経済秩序と新経済秩序を巡る争いでもあったのだ
膨大な金を保有するアメリカの反対にあって潰れたが、ブレトンウッズ体制もアメリカから金が流出しニクソンがお手上げして終わることになる

世界恐慌と今の欧州危機と被るところが多い
景気が過熱したアメリカでは引き締めのために金利を上げたが、その高い金利を目当てに欧州から資金が引き揚げられたという。その結果、アメリカのバブルはさらに激しくなってしまったという
一国の金融政策が金融が自由化した世界では機能しないという一例なのだが、つい最近まで高金利の危ない国債が資金の運用先に利用されるという有り得ないことがあった(詳しくはコレ→『本当にヤバイ!欧州経済』
いかんせん第二次大戦の頃に考えられた方策なので、グローバル化した現代にそのまま通用するかは怪しいが、あの時代にこういうことを想定して対策を考えた人がいたことはもっと知られていい


関連記事 『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カテゴリ
SF (25)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。