『ローマ人の物語 43 ローマ世界の終焉(下)』 塩野七生

サッカーの三位決定戦は悔しい結果に終わった
香川のいないごった煮の急造メンバーで、期待以上のベストフォーまで行けたのだから上等なのだが、相手が相手だからなあ
しかし、三位決定戦が日韓というのは、サッカー界のオリンピックがMBAのWBC級ってこと?

ローマ人の物語〈43〉ローマ世界の終焉〈下〉 (新潮文庫)ローマ人の物語〈43〉ローマ世界の終焉〈下〉 (新潮文庫)
(2011/08/28)
塩野 七生

商品詳細を見る


西ローマ帝国滅亡後の、オドケアルそして、東ゴート族のテオドリックによるイタリアの統治から、ユスティニアヌス帝による“ローマ遠征”まで
文庫最終巻を読むと、前巻で東ローマに冷たかった理由が分かった
ナナミンにとってのローマ文明の真髄とは魂、スピリットであって、それがルネサンスの淵源となって今の近代社会の礎になっているという認識がある
形だけは帝国の東ローマは実質オリエントの帝国であって、その遠征が都市ローマを破壊したのならば、到底ローマの後継者として認めるわけにはいかないのだ
こういうところの機微はオチを読まないと分からないので、前巻の感想は軽率だったと少し後悔している
「ローマ帝国の物語」ではなく、都市国家ローマ、『ローマ人の物語』なのだから

西ローマを滅ぼしたオドケアル、それを倒してローマに入ったテオドリックの統治が面白い
“蛮族たち”は行政をローマ人自身に全て任せて、そのために元老院の銅貨の鋳造権など古い権利までを復活させた
ゴート族はあくまで武人であることにこだわり、ローマ・ギリシアの教養を拒否して、奇麗にローマ人と棲み分けた。このためゴート族は一般的にラテン語が読めないままで、国家の体をとるにもローマ人の協力は欠かせなかった
この構造はまさに、その後の中世社会そのもの。中世の王族や騎士たちも文字を読めないものが多く、知識人として聖職者の役割は大きかった
「パクス・バルバリカ」(蛮族による平和)は、中世社会の魁けだったのだ。「同化」でなく、「共生」という在り方も階級社会の残るヨーロッパ社会の源といえよう
ルネサンスを愛する作者にとって、ローマの精神を保存したこの統治はそれなりに評価できるものであり、それを破壊したユスティニアヌスの遠征こそ罪深いのだ

最終巻において全てが腑に落ちた
「ローマ世界の終焉」という最終章は、単にローマ帝国の滅亡だけでなしに、蛮族の統治に次の時代の橋渡しとなる事象を捉えた点で見事だと思う
しかし、最後まで読んで違和感が残るのは、やはりカエサル萌えが過ぎることだろうか(微苦笑)
カエサルという人は文武両面で最高のローマ人である一方、伝統の共和制を破壊しようとした規格外の英雄でもある。自身が征服したガリア人族長を大量に議員へ仕立て上げるなど、これ以上ない議会制の破壊だろう
もしカエサルが無事ならば、ローマはもっと早くに専制君主制へ移行したのでは、と想像することもできる
後継のアウグストゥスが穏当な形で元首政に持っていったからこそ、ローマは長命したといえるので、普通なら彼の穏やかなで堅牢な統治こそ評価されるべきだ
まあ、こういう作家の好悪が露出しているところが、この作品の愛らしい理由でもあって、広く読者に愛されるのだろう


前巻 『ローマ人の物語 42 ローマ世界の終焉(中)』
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

塩野七生「ローマ人の物語15-ローマ世界の終焉」を読破!!
野田首相がやばそうである。 文字通り、四面楚歌である。 吾輩も似たような目に合ったことがあるので、後ろ向きになるのもよくわかるが、ここまで来た以上攻め続けて欲しい。 ローマ人の物語 (15) ローマ...
(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カテゴリ
SF (25)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。