『不毛地帯』 第4巻 山崎豊子

読みやすいけど、全体としては散漫かも

不毛地帯 第4巻 (新潮文庫 や 5-43)不毛地帯 第4巻 (新潮文庫 や 5-43)
(2009/03)
山崎 豊子

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千代田自動車との提携を巡って、フォーク社との熾烈な駆け引きが続く。その間にも壱岐は、総合商社として石油産業に飛び込もうとしていた。戦前の日本が資源の乏しさから戦争に踏み込んだ歴史を意識してのことであった。腹心の部下である兵頭は、イラン、リビアに飛び、新たな油田を探して回る

アメリカ近畿商事社長としてフォーク社との提携を支援したい壱岐だったが、里井副社長との確執でこの案件から遠ざかることに
専務に昇進し東京に復帰してからも同様で、千代田自動車の件が片付かないうちに最終章ともいえる石油産業編に突入していく。結局は千代田-フォークの提携はライバルに潰され、自動車編は僅かな火だねを残しながらも幕を閉じる
演出的に壱岐は前に出ず、里井副社長に失敗を押しつける格好になっているので、自動車編はどうもすっきりしなかった。壱岐にまるで傷がつかないのだ
権力闘争であれ、経済戦争であれ、ライバル同士ちゃんとぶつかった方が展開が盛り上がる
業界の構図を眺めるには申し分ないほど調べられているけども、謀略小説としては壱岐が奇麗なままでいるのが出来すぎている本能剥き出しの鮫島の方が魅力的だ

ビジネス面では清廉でも、私生活の方ではアラアラな状況に
秋津千里と愛人関係を続けるはいいが、身を固めるわけでもないから、息子や娘に気付かれるとオロオロとせざる得ない。もう、みっともないったらない
代官山のマンションに亡き妻の遺影を運び込んだものだから、千里も遠慮し出す始末だ
娘はともかく、大人になった息子がここまでショックを受けるのは幼すぎる気はしたが、これは昔と今の家族に対する感覚のギャップなのかもしれない
自動車産業の件もそうだけど、私生活の展開でも余り先を詰めずに転がしたためか、上手くまとまっていないと思う
主人公の苦悩がまんま自業自得なので、「ざまあ」と思わざる得なかった(笑)

気を遣わなければならない範囲が広すぎて、作者の手に余る題材だったのだろう。細部は文章力でよく収まっても、それぞれが詰めのやや甘く突き抜けなかった
商社の件でも手一杯なのに、清輝の仏法修行、千里の陶器など、別の世界のことも入れたのは、小説として無理が過ぎたように思える。ここまで書けてしまうのは、作家の腕力ではあるけれど
ドラマ化されたように大作という評価は分かるものの、小説としてはバロック的に膨らみ過ぎて名作というには及ばないか


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