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『不毛地帯』 第3巻 山崎豊子

なかなか打線が噴火しない我がタイガース
統一球+広いストライクゾーン+甲子園では、ホームランがまったく計算できないわけで、機動力中心の野球ができないと・・・

不毛地帯 第3巻 (新潮文庫 や 5-42)不毛地帯 第3巻 (新潮文庫 や 5-42)
(2009/03)
山崎 豊子

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次期戦闘機計画、第三次中東戦争と実績を積んだ壱岐は、常務に就任し近畿商事の総合商社化を提唱する。その推進のため、不振の千代田自動車にと米メジャー・フォーク社との外資提携を仕掛けるが、社内で千代田の国内合併を模索する里井副社長と対立することに。壱岐は社内融和と身内の不幸からアメリカ近畿商事の社長に異動するも、現地でフォーク会長と直に交渉し数年越しで外資提携を目指すのだった

業務部本部長から取締役の末席に昇進した壱岐だったが、入社数年での異例の出世から社内では嫉妬、特に里井副社長からは次期社長のライバルとして意識されるようになる
里井副社長は入社仕立ての壱岐を後押ししてくれた人間だった
外では抜け目のない外資や東京商事と熾烈な争いをしつつ、内ではかつての恩人が権力闘争しなければならないという、組織人としての苦みを感じさせる第三巻だ
千代田自動車、フォーク社と仮名が振ってあるが、モデルの名は全く違う
伊藤忠商事が実際に提携させたメーカーは、いすゞ自動車で相手はゼネラル・モーターズなのだ
あえて全く違う仮名をつけたのは、モデルとなった会社に言い訳できるようにするためで、私企業のことなのでFXの件よりは同情できる
フォーク会長とのコネを韓国の三星物産(=サムスン物産)社長につけてもらい、大統領と面会を果たすなど、陸軍の経歴を生かした人脈は、瀬島龍三そのまま

作者は壱岐を理想の男性に仕立て上げたいのか、幾つかご都合の展開を用意していた
その最たるものが、シベリア抑留の11年を待った妻、佳子の死
ドラマにもなったので豪快にネタバレすると、交通事故で全くの突然に死んでしまうのである
現実にいくら交通事故で死ぬ人が多いとしても、小説でこの展開は芸がなさすぎる。展開上、邪魔になったから殺したというのが丸わかりではないか
結局、壱岐に恋いこがれる秋津千里との逢瀬が予定されていて、彼を不倫男にしないために妻を始末したということなのだ
それにしても、交通事故はヒドイ(笑)。せめて計画的に、病気などの設定を用意しておくべきだろう
僕がここまで書いてしまうのも、モデルである瀬島龍三の奥さんが90歳まで生きて、70年以上の結婚生活を送っていたからだ。奥さんが死んだ後、瀬島が後を追ったように亡くなるという、そういう夫婦なのだ
いや、この改変はえげつない。僕のなかで山崎豊子はヒールになったな

自動車産業に関しては、熾烈な国内の競争民族資本を守ろうとする通産省に、それに苛立つ米メジャーと、業界の構図が分かりやすく解説されていた
トヨタ、日産クラスは、外国で安い車を売って優位に立っているものの、国内の中小は外資が入ると戦えないという複雑な状況だったのだ
なにせい方々に気を遣った小説なので、細部に関してはそのまま正しいか保証しかねるが、参考にはなるだろう


次巻 『不毛地帯』第4巻
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