【DVD】『惑星ソラリス』

原作はまだ積読の海に

惑星ソラリス [DVD]惑星ソラリス [DVD]
(2002/12/16)
ナタリア・ボンダルチュク、ドナータス・バニオニス 他

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風変わりな科学者クリス・ケヴィン(=ドナタス・バニオニス)は、惑星ソラリスについての調査を命じられた。ソラリスの基地からの通信が途切れ、異常な情報が舞い込んできたからだ。奇っ怪な状況を報告したバートン(=ウラジスラフ・ドヴォルジェツキー)を、クリスは一笑に付す。しかし、いざソラリスの基地に行くと、残された科学者は半ば夢遊病のように振る舞っており、クリスもまた存在しないはずの、謎の女ハリー(=ナタリア・ボンダルチュク)を見るのだった

二時間半と長時間の大作ながら、目に優しいというか、独特の間の取り方なので時間は気にならなかった
カメラをゆっくり流すように撮ったり、かつセットをそのままに時間だけが過ぎたようなカット割りもあって、飽きさせないのだ
設定はSFながら、ストーリーは必ずしもそうではない。人間と科学の問題も関わるけれど、男と女の物語、過去への遡行が本筋で、人間の認識の問題に深く立ち入っていく
かといって、娯楽性に乏しいわけではない
この時代さながらの部分にあるにしろ(近未来の光景に高度成長期の日本を撮影している!)、ソラリスが出現させる者たちの現れ方は幽玄で時に過激でホラーやスプラッタを感じさせるし、クリスとハリーのやりとりはラブストーリーそのもの
ロシアのお姉さんがあんなことこんなことになって、ヤマ場には大変なシーンもあるので、いろんな意味で楽しめるのではないだろうか

冒頭に藻がそよぐ水面のシーンがあり、それはラストにもう一度出てくる。クリスが眺める水面はソラリスの海との関係を暗示させている
ソラリスの作るイメージは、人間のおもったことを具現化したものであり、基地内では住人の心的光景が幽霊のように現れる
心理学的に言い切ってしまうと、ソラリス=水面下の世界は潜在意識、無意識の領域なのだ
自らの考えるイメージを物質化してくれるソラリスを巡って、クリスを含めた三人の科学者は三者三様の態度をとる
一番唯物論的な科学者サルトリウス(=アナトーリー・ソロニーツィン)は、ソラリスをあくまで科学で分析し通す。中性子を破壊させて、ソラリスを崩壊させることまで視野にいれる
「人間が幸せな時は哲学を必要としない。死のまぎわだけ必要なのだ」という割り切り方
老科学者スナウト(=ユーリー・ヤルヴェト)は、ソラリスを肯定しつき合い続ける立場をとる
クリスは最初、サルトリウスに近い考えをとりつつも、ハリーの存在からスナウトの立場に移り、そしてさらにソラリスへのめり込んでいく
一番ソラリス寄りの立場に立ってしまったクリスに対し、スナウトは「人間には恥の意識が必要だ」と説く
自分とそれがつくりだすイメージにだけ気をとられ、他人の視線や異物の存在に気を払わなければ、溺死したナルキッソスのごとく人間として崩壊してしまうだろう
向こうの映画から、というキーワードが出てくるのは新鮮だった

題材的には、バラードの『結晶世界』と通じるところもあるのか
原作の小説を忠実に再現したものではないようで、映画にはタルコフスキーが勝手に持ち込んだものも多いらしい。原作者のスタニスワフ・レムと大げんかし、罵りあったという逸話もあるようだ
長い尺のわりに話の流れはのどか過ぎる部分もあるけれど、今の映画の情報量が多すぎるのだし、これがロシア時間だと割り切れば大丈夫
ソ連映画なのに、国の金を使ってしっかりお色気シーン(人によってはだが)も用意してくれたところなど、大したもんじゃないか
タルコフスキーは伊達じゃない!


ラストに、ソラリスの海にクリスの実家をイメージした島が浮かぶ場面は、なんかエヴァと比較したくなった
父親=ノスタルジイに抱きつく場面などは、『罪と罰』な感じで文学的ながら、それが茫洋たる海に囲まれている光景まで含めると、世紀末というか世界の破滅を示しているというか
戦慄が走るガチの破滅だ


関連記事 【DVD】『ソラリス』(ソダーバーグ版)
       『ソラリスの陽のもとに』(原作小説)
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