『検証・真珠湾の謎と真実』 秦郁彦・編

ルーズベルト「真珠湾に来ると思わんかったや。言わせんな、恥ずかしい!」

検証・真珠湾の謎と真実 - ルーズベルトは知っていたか (中公文庫)検証・真珠湾の謎と真実 - ルーズベルトは知っていたか (中公文庫)
(2011/11/22)
秦 郁彦

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タイトルに偽りありというほどではないが、普通に真珠湾攻撃を扱ったものではない
題名よりも副題の「ルーズベルトは知っていたか」に比重が乗った内容で、真珠湾攻撃のルーズベルト陰謀説に対する反論本なのだ
なので、ある程度パールハーバーのことを知っている人ではないとまず入りにくい。なにしろ、最初の方は陰謀論やそれを唱えた人という、あまりにマニアック過ぎるネタが俎上に上がっている(苦笑)
名前の出ている秦郁彦は、編集と第四章を担当していて、1章ごとに須藤眞志今野勉左近允尚敏が寄稿している
この本が単行本で出されたのが、2001年。この年にルーズベルト陰謀説を唱えた、スティネットの『欺瞞の日』が日本で発売され、著名人の推薦もあって評判になっていたらしい
第四章では、秦郁彦自身が『欺瞞の日』を糾弾している

四人の著者同じ事実は認めていても、それをどう受け取るかは四者四様だ
役割分担を決めたわりに、それそれ勝手に解釈していくので、本としての一体感はない。まるで見方が違うので、つんのめりそうになる箇所もある
一つの価値観で束ねられた本ではなく、一章ごとに別の論文と考えた方がいいだろう
一番ストレートに読めたのが左近允尚敏の三章
真珠湾攻撃について、電波や暗号、それに対する傍受と解読など通信技術から読み解いたもので、なぜ攻撃が成功し、また多くの陰謀論が生まれるかについて証明してくれている
鍵となるのは、海軍の暗号JN-25b
アメリカは日本の外交電報(パープル)の解読に精力を注ぎすぎて、より簡単なJN-25bを解読することができなかった(解読できたのは、ミッドウェイ海戦の1942年)
そのために、日本が攻撃することが予測できても、どこに来るかが予測できなかったのだ
陰謀論者たちは、この海軍の暗号電報を「傍受」したことを「解読」と結びつけて、真珠湾攻撃を予知できたと言い張っている
まあ、簡単な方の暗号が解けていなかったというのが信じられないのだろう

三章までお堅い文章が続くが、第四章の「スティネット『欺瞞の日』の欺瞞」はざっくばらんだ
本国でネタ本扱いされていたものが、なぜ日本でもてはやされたか、から始まるのだ。著者によるとそれは、中西輝政・京都大学教授が『正論』で取り上げたことだという

・・・(略)・・・私がびっくりしたのは、ルーズベルト陰謀説も反陰謀説も「耳にタコができる」ほど聞かされ、あきあきしていたベテラン歴史家の中西氏が「どうせこれまでの焼き直しだろうが、一応読んでみるか」というスタンスでスティネット本を読みはじめたところ、一冊だけで世界観や人生観まで変わるほどの衝撃を受けてしまったらしいことだった。それも、ごく初歩的なトリック本によってとなると、別の歴史家として「こりゃ何だ」との思いを禁じえなかった。(p232)

その後、櫻井よしこが『週刊新潮』で取り上げ、『諸君!』ではスティネットの特集が組まれたとか
文系の人間として、技術的な問題を看破しにくいというのは分かるんだけど、このレベルの人がこれでは困る。中西教授といえば、高坂センセの門下生でっせ
『知識の限界』に、文系知識人がいかに理系の常識についていい加減か、と批判されていたネタがあった。小なりとはいえ文系出として自戒としたいものであります


本書を読んだ上ならば、小ネタ集として楽しめるかもしれませんな。コレ

真珠湾の真実 ― ルーズベルト欺瞞の日々真珠湾の真実 ― ルーズベルト欺瞞の日々
(2001/06/26)
ロバート・B・スティネット

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文庫本が出ていないところを見ると、賞味期限切れの陰謀論なのだろうけど
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