『坂の上の雲』 第3巻 司馬遼太郎 

日本シリーズ第六戦が2-1のまま終わろうとは
右打者に対するアウトローを審判がとったことで、吉見が立ち直れたのが中日の勝因だろう
ホークスの打者はいつでも打てる気になったのか、途中で雑になったな

坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)
(1999/01)
司馬 遼太郎

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南下政策に対し日英同盟が結ばれるが、ロシアの強硬姿勢は変わらずついに戦争へ突入する
シベリア鉄道の建設は1890年に始まり、全線開通したのは日露戦争中の1904年9月。日本側は開通してからでは勝負にならないと、それに応じた軍備増強をしていた
日清戦争のときに弱体だった海軍は、10年で新鋭の戦艦を6隻持つ計画を立て達成する。当時の日本の国力からすれば、大変な国民への負担となる
そうした抑止力を用意する一方で、外交も活発で駐英公使林董日英同盟を探れば、伊藤博文も単独で対露交渉に乗り出す。結果的に伊藤のスタンドプレーがイギリスの危機感を煽って、同盟締結の後押しとなった
また、政治家だけでなく陸海首脳までが講和の段取りにくどいほど気を配っていて、当初からアメリカに仲介を頼むことが想定されていた
対するロシアはというと、基本的に日本を“猿”として見くびっていて、まるで対日戦を想定しなかった。正しく内外の情勢を評価できていたら開戦には到ってなかったのでは・・・
ちなみに、大河ドラマであったニコライ2世が最終段階で日本側に妥協したことを極東総督アレクセーエフが握りつぶした件は、本書には出てこない
さて、出典はどこだろう。小説の後に発見されたことが大河に反映されているなら嬉しいが

俗にいう自由主義史観に動員された部分というのはこういう箇所だろうか

 十九世紀からこの時代にかけて、世界の国家や地域は、他国の植民地になるか、それがいやならば産業を興して軍事力をもち、帝国主義の仲間入りするか、その二通りの道しかなかった。後世の人が幻想して侵さず侵されず、人類の平和のみを国是とする国こそ当時のあるべき姿とし、その幻想国家の架空の基準を当時の国家と国際社会に割りこませて国家のありかたの正邪をきめるというのは、歴史は粘土細工の粘土にすぎなくなる。世界の段階は、すでにそうである。日本は維新によって自立の道を選んでしまった以上、すでにそのときから他国(朝鮮)の迷惑の上においておのれの国の自立をたもたねばならなかった。(p163-164)

思っていた以上にはっきり書いていたという(苦笑)
国家が自国の防衛のためにどこまで他国を浸食していいかというのは、あまりにケースバイケースというか、グレー、不鮮明になる問題だ
十九世紀はヨーロッパ列強が覇権を握っていたから、西欧文明を受容れない国は文明化のために植民地にすることを肯定的に捉えられていたし、二十世紀はアメリカが覇権国となり植民地はダメだけど、自分と同じ政体にするために(ときに傀儡的な)新政府を立ち上げていいなんてことになる
そのとき、覇権を握っている国によってルールそのものが様変わりしてしまうのである。昨日までアリだったことでも、新しいジャイアンに殴られてダメになってしまうのだ
じゃあ、力は正義かというとそうではなくて、ポーランドやウクライナなど不死鳥のように国民国家として復活する例もある。無理な圧制もどこかでお返しがある
とりあえず、近代国家になるべく国民を創造(!)できた国が勝ち残るか、後に独立できて、ある程度の集団でまとまれなかった国は“地域”として吸収されてしまうということになるのだろうか

小説の中で日露戦争が始まって感じたのは、想像以上に他の小説に与えた影響が大きいのではないか、ということ
戦場に機関砲が猛威を振るうところは『リーンの翼』を感じるし、犠牲ありきの作戦を嫌がる東郷元帥や、戦後出家しようとした秋山真之、ロシア指導階級の腐敗と驕慢ぶりは『銀河英雄伝説』の光景を連想させられる
南北戦争に並ぶ総力戦の萌芽が見られる一方で、作中にもあるとおり「戦争が貴族のものでありえた最後の時代」でもあり、講談的な語りが許される最後の時代でもあったのだ
そして、講談と近代戦が同居しているのが、主題とは別に人気の秘密であり、他作品に影響を与えたのだろう
司馬遼太郎が日露戦争以後を小説にしなかった理由の一つには、資料的にも時代的にも講談的な書き方が許されないと感じたこともあると思う


近代国家に呑まれる地域に関して取り上げたのにこういうのがある

トゥバ紀行 (岩波文庫)トゥバ紀行 (岩波文庫)
(1996/06/17)
メンヒェン=ヘルフェン

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ハーツオブアイアンのシリーズをやっている方なら、ソ連に吸収される弱小国、タンヌ・トゥバを知っているだろう
この本は、吸収される前のトゥバを探査した旅行記
トゥバ人は独自の生活スタイルを持ちつつも、ソ連の伸長に対して諦観的で「100万人揃わないと、近代国家を作ることができない」という
先々を見込んでソ連に肩入れするトゥバ人もいるが、大多数にとってソ連の支配がトゥバの利益になるわけでもないわけで・・・
こういう近代との出会い方もあってしまうわけだ

ファインマンさん最後の冒険 (岩波現代文庫)ファインマンさん最後の冒険 (岩波現代文庫)
(2004/08/19)
ラルフ レイトン

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ソ連時代のトゥバに関しては、ノーベル物理学賞のファインマン教授の冒険記に詳しいらしい
しかし、なんで物理学の教授が?

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