『竜馬がゆく』 第4巻 司馬遼太郎

出崎監督が亡くなった。最近まで熱心に仕事されているようだったのに
自分にとっての代表作は、やはり『明日のジョー』
京都テレビの再放送を飽きずに観ていました


竜馬がゆく〈4〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈4〉 (文春文庫)
(1998/09/10)
司馬 遼太郎

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前巻まで尊皇攘夷に風が吹いていたが、第4巻で佐幕、公武合体派の巻き返しが始まる
竜馬にとって大きいのは、土佐勤王党と武市半平太の粛清。半平太の一味と目されたことで再度脱藩を余儀なくされる
それでも施設に乏しい神戸海軍操連所で辛抱するうちに、ついに幕府から軍艦一隻を拝領することになった。竜馬は他の有名志士のように派手な謀略に乗り出さず、着実に足場を築いていく
勝など多くのコネがあるとはいえ、脱藩浪人の身だ。フリーランスの人間が仕事をするには、より慎重に現実的に行動しなければならないのだ
さて、色恋の方では、おりょうさんの登場で一気にそちらに雪崩れ込むと思いきや、まだお田勢様千葉さな子らも振り切れない。というより、風雲を前にして誰か一人を思いきれないというところか

巻を進むごとに感じるのは、司馬の好き嫌いの激しさである
武市半平太の件で山内容堂を責めるのは分かるし、長州の激烈を帝国陸軍につなげて嫌うのも心情的に分かるのだが

いや、度しがたい。徳川時代の階級制、身分制、封建的権威主義ほど日本人をわるくしたものはない。
以蔵は、足軽の身分である。せめて郷士ならばこうまでの恥辱をうけなかったに違いない。藩の上層部は、以蔵を犬猫以下にあつかった。・・・(略)・・・
奸智というか。
が、上士たちは良心の呵責さえもっていない。足軽などは虫のようなものだと思っている。徳川社会は日本人にこの種の智恵をのみ異常に発達させた。(p238)

竜馬視点で体制を変革していく話であるにしても、ここまで江戸時代を腐すとは
ナナミンのカエサル補正など可愛くなるほどの爆撃ぶりなのだ
そういえば、対談などでも徳川体制の停滞を嘆いて、対談相手に「徳川時代の資本の蓄積があったから、明治維新ができたのでは」と慰められていたことがある
最近の研究では(といってもここ三十年ぐらいか)、地域よって身分に流動性があったり、人やモノが全国各地に動く物流網があったとか、江戸時代=停滞というマルクス史観に影響された歴史観が覆されている
司馬自身の小説がそれに影響しているし、作中でもそういう指摘があったりするのだが、部分的にはこういう文章もある
この激しさは、意外な発見だった

司馬の価値観からすると、武市半平太という人物は殺伐とした謀略を展開したことから厳しくなると思ったが、以外に暖かった
清廉にして沈毅、先の政道を見据えた一人物というところで、惜しまれたのだろう
山内容堂が責められるのは止む得ない。本人が後年嘆いたように、武市半平太が藩全体に尊皇攘夷を歩ませようとしたことが、土佐藩を維新の勝ち組に仕立てたのである
容堂も島津久光に負けず、えらくこき下ろされている。そのこき下ろしようも、本巻の見どころの一つだ


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コメント

こんばんは、クロノクルさん。

そうですね、司馬遼太郎は、人物の好き嫌いが激しいですね。
基本、自分が惚れた人物を魅力的に書くタイプの作家だと思います。
それがために、作品が面白くなっていると感じますね。
ナナミンも同タイプの作家のような気がします。
司馬遼太郎は、あと山県有朋と徳川家康を嫌ってますね。
山県有朋は、日本陸軍の基礎を作った人物であること、司馬自身が日本陸軍でえらい目にあったことが理由でヒドイ評価を受けてるような気がします。
徳川家康は、封建的だと司馬が言っている江戸時代を始めたこと、重農主義を取ったことが理由で嫌われてるように思います。
それと、司馬遼太郎が商人の都である大阪府出身であることも影響してると思います。


Re: タイトルなし
ただ、「江戸時代」の評価に関しては、好き嫌いという域を超えていると思うんですよ
何か日本人のある部分を徹底して嫌い抜くというか
それはおそらく戦争体験に端を発するのでしょうけど、山県有朋を飛び越して江戸時代にまで矛先が向うわけです
こういう激しさはナナミンにはありません

それでも、小説で描かれた、作品世界としての江戸時代は魅力的ですから不思議なんですよね

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