『ローマ帝国衰亡史 2』 エドワード・ギボン

NHK『ニュース7』のお天気お姉さん、半井小絵が、3月で降板するらしい
巷ではゴシップも囁かれているが、むしろ7年も出続けたことが稀かと思う
NHKらしいと言えば、らしい幕切れかなあ

ローマ帝国衰亡史〈2〉第11‐16章 ディオクレティアヌスとキリスト教の展開 (ちくま学芸文庫)ローマ帝国衰亡史〈2〉第11‐16章 ディオクレティアヌスとキリスト教の展開 (ちくま学芸文庫)
(1996/01)
エドワード ギボン

商品詳細を見る


30僭帝時代の大混乱から秩序を再建したクラウディウス帝、パルミュラ女王を倒して帝国を再統一したアウレリヌス帝、短期政権の連続に終止符を打ち、帝国分割統治を確立したディオクレティアヌス帝、その後継者争いを勝ちキリスト教公認して帝国の質を決定的に変えたコンスタンティヌス帝の登極までを扱う。後半には、帝政下のキリスト教会とその活動の実態を論じた有名な章があり、一八世紀のインテリ層を震撼させたという

短期政権の皇帝たちを、ついつい現実の政治になぞらえて過少評価してしまいがちなものだが、ギボン師匠はひと味違う。やや講談的なエピソードを盛り込みつつも、蛮族の手から身を挺して帝国を守った軍人皇帝たちを等しく評価するのだ
また、つかの間に復活した元老院を取り上げ、時代の大波に逆らう人々がいたことも強調している
カエサル基準から厳しい評価をしがちなナナミンに比べ、この時代の為政者たちをなんだかんだ帝国を守りきったのだと実にポジティヴな見方をしているのだ
が、そんな師匠には無情な訳注が降り注ぐ
後世の研究から、引用した文献は偽書と断定されまくり、それらしい詩的表現も他の似た事例から拝借したものと見抜かれてしまう
確かに資料性からは問題になる記述も多いだろう
しかし、賢帝、バカ殿、普通の子、といずれの人物にしろ、数々の怪しいエピソード(!)から人間味のある、あの時代のローマ人の姿が立ち上がってくるのだ

キリスト教を語る時のギボンの立場は、非常に複雑である
啓蒙主義の時代に入った一八世紀のイギリスであっても、キリスト教会史に手を突っ込むことはタブーだった
あとがきに詳しく載っているが、ギボンは直接キリストや聖人の秘蹟を触らず、“凡人”であるキリスト教徒たちから教会史へ挑戦していくのだ
こういう経緯が把握していないと、キリスト教の項は刺激的ながらも真意が分かりにくい内容だろう
ギボンがまず言いたかったのは、ローマ帝政のキリスト教徒は基本的に“寛容”の精神から保護されていたということだ
教会史の迫害の多くは誇張されたものであって、ネロ帝やドミナティウス帝などの間欠的な迫害を除いては平和の時代を過ごしていたという
ギボンが弁護しないガチの迫害はディオクレティアヌス帝のもので、これは狂気ともいえる惨状であったという。これもまた地方によっては、副帝の配慮で緩和されたらしい

ここから見えてくるのは、多神教のジレンマ
一神教の世界観は多神教を否定するもので相容れないのだが、かといって一神教を排除してしまうことは、多神教の“寛容”から離れてしまう
ゾロアスター教を奉じたペルシアはキリスト教の流布から逃れるのだが、そこまで行ってしまってはローマがローマでなくなってしまうのだ
また、組織力のなさがローマの神々の弱点で、聖職者階級がなくただ国家元首が国事行為を行うのみ
信者との接触が多い、キリスト教会とは、束縛力に雲泥の差があった
一時期、ローマの神々で組織化する運動も行われるが、付け焼刃の伝統ではどうにもならない
江戸時代の日本では、キリスト教が弾圧される一方で、仏教による檀家制度が整備された。ローマ帝国では、寛容過ぎたからこそ、自前の宗教組織が育たなかったのだろうか
明治維新の国学運動とかも連想して、時代は違えど国家と宗教の関係は考えさせられるところがあった

次巻 『ローマ帝国衰亡史 3』
前巻 『ローマ帝国衰亡史 1』
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カテゴリ
SF (25)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。