『サンタクロースの大旅行』 葛野浩昭

やっと寒さが少し和らいだ
エアコンをかけながら、部屋で毛布にくるまる日ともオサラバか?

サンタクロースの大旅行 (岩波新書)サンタクロースの大旅行 (岩波新書)
(1998/11/20)
葛野 浩昭

商品詳細を見る


クリスマスの日に子供にプレゼントを贈るサンタクロースとは、何者だったのか。中世の聖人、聖ニコラウス、古代ゲルマンの冬至祭に始まって、アメリカにおける発展、日本での受容をたどり、現代のフィンランドにおける観光産業にまでを俯瞰する。サンタクロースを多角的な視点で捉えた新書


とにかくサンタクロースについてこだわった新書だ
サンタクロースの起源を古代ゲルマンの神に求め、貧者に恵んだ聖ニコラウスと結びついて、冬の祭りの主役となる
そもそもヨーロッパの冬の祭りには、ゲルマンの神々が隠れていて、人々に戒めと豊作を約束するものが多く、各国にサンタクロースの代替的存在があった。荒々しい姿を保った彼らの性質は、日本のナマハゲらに共通点が多いのは興味深い
聖ニコラウスが水夫の守護聖人だったことからオランダに家族の祭りとしての生まれ、アメリカのニューヨーク(オランダ人が開いた旧名・ニューアムステルダム!)においては都市の伝統的シンボルとして再創造されて、今の姿が定着したという歴史は初耳だった
そういった民俗学、歴史的視点とともに、アメリカ、日本でのクリスマスのついては、クリスマスのプレゼント文化の普及から、家族像の変化をみるといった社会学の論もある
さらには、フィンランドにおける観光の展開と、その裏側の問題などは、リゾート地のルポルタージュのごとしで、サンタクロースから様々な問題に著者は踏み込んでいくのだ
衰亡史の谷間に軽い気持ちで手に取った本であったけれども、知恵熱が出そうな新書であった

古代の神々との関係も面白いが、身近に感じるのは現代人の価値観とクリスマスの関係だろう
アメリカから入ってきたクリスマス文化は、アメリカ人が理想とした家族像をともなっていた。「恋愛」で結婚したカップルは、その「愛の結晶」である子供を特別に慈しまなければならない

・・・、「ロマンチック・ラヴで結ばれた夫婦」そして「そのラヴの結晶としての子供」という<家族>観が力を持つ以上、<家族>と<恋愛>とは表裏一体の関係にあります。そして、この現代日本社会では、<家族する>ためであれ<恋愛する>ためであれ、そこには日常とは違う儀礼的な過剰消費行動が必要とされること、そのことを年中行事・季節儀礼としてのクリスマスは何よりも雄弁に物語ってくれるように思われます。(p152)

<血統>の論理だけで<夫婦>や<家族>が成り立たない。ためにあえて<家族>するための行動が必要とされる
クリスマスやサンタクロースの物語は、現代人が家族を維持するための儀礼となっているのだ

よく、クリスマスをカップルで過ごす行動を「性夜」と皮肉ったり、「キリストが生まれた日なんだぞ」と揶揄されるが、著者からすればお門違い
そもそも冬のお祭りには、豊作とともに多産の願いも込められている。中世のお遊びにすら、性的なニュアンスが満ちていて、祭りを期に結婚相手を前向きに探すというのがむしろ通例
「聖夜」はまさに「性夜」であり、古代の伝統から通じる王道文化であるのだ!!
独り身として「リア充爆発しろ」の心情は重々分かるが、この手の行事に“乗れる器量”を身につけたいと願う今日この頃である
(この一行は、各記事の最後に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


(この一行は、各ページ下部に固定表示するサンプルです。テンプレートを編集して削除もしくは非表示にしてください。)
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カテゴリ
SF (25)
RSSリンクの表示
リンク
FC2 Blog Ranking
ランキング
アクセスアップ!?
検索フォーム
はてな
この日記のはてなブックマーク数
タグランキング

サイドバー背後固定表示サンプル

サイドバーの背後(下部)に固定表示して、スペースを有効活用できます。(ie6は非対応で固定されません。)

広告を固定表示させる場合、それぞれの規約に抵触しないようご注意ください。

テンプレートを編集すれば、この文章を消去できます。