『ねじまき鳥クロニクル』 第1部 村上春樹

日本シリーズのおかげで、読書ペースが遅くなってしまった
全国的な人気はないけど、見てみると面白いのだ。日本シリーズは
第四戦は延長戦で11時まで続く熱戦
千葉テレビとの関係からか京都テレビでやっていて、ノムさんの解説を聞けたのが良かった

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
(1997/09)
村上 春樹

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失業していた僕にある日、電話がかかってきた。電話は知らない女からだった。ろくに話もせずに切ったが、それを境に何かが動き始める。妻クミコから暇だったらと買っていた猫を探すように頼まれた。猫の名は綿谷のぼる。妻の兄の名がつけられていた。猫を探すうちに、脚をひきずる少女笠原メイ、予言する老人ホンダさん、奇妙な姉妹加納マルタ・クレタらと出会っていく・・・

ミステリアスな出だしながら、おそらくは猫探しにかけた自分さがしの旅になっていくのだろう
主人公が失業というモラトリアムの状態である。しかし、自分の状態を深刻に考えず、特に内省的な性格ではない。草食系ののんびり屋さんなのだ
そこで猫探しというミッションが与えられて、ようやく動き出す。こういう受動的なところに親近感が湧くし、物語の転がし始めとして上手い
面白いのが、舞台設定が1984年ということだ。あの『1Q84』と同じ年を舞台にしているのである
相変わらず年代や地域を感じさせない世界観なのだが、ねじまき鳥からもう17年経つ。どう80年代に対する捉え方が変わっていったかに注目したい

おやっと思ったのは、文体の生臭さだ。予想していたより、アメリカ臭がしないのである
志賀直哉の短編を読み終えた後に読み始めたのだが、猫探しで街を歩いた時の描写はまったく差を感じなかった
日本文学臭いのだ
妻との会話もなにやら具体的で、他の箇所でも作者の実体験に近いと思わせるものがあった。乾いた文体の部分と描写への執着が違う
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』はファンタジー色の強さからかそう感じなかったし、本書以降に出た『カフカの少年』『スプートニクの恋人』等もここまでではなかったと記憶する
なぜ本書はそうなのか。これは意外な発見だった
とにかく作者はアメリカ一本の人ではなく、何本も文体の刀を持っているということなのだ

第一部の締めを飾るのは、ホンダさんの戦友間宮元中尉だ。間宮さんは、丸二章をかけて外蒙古での過酷な体験を語る
彼が訴えるのは、歴史の教訓というよりも、個人の“魂”のあり方である
人はただ生きるだけでは幸せになれない。抜け殻の肉体には、抜け殻の人生しか送れない
ぶらぶらし続ける主人公は、何かを取り戻さないといけないのだ
自らの来歴、周囲との歴史を探る「運命の旅」は始まったばかり
10’11/24 追記



第一部のタイトル「泥棒かささぎ」は、ロッシーニ作のオペラ
筋は青年が権力者にさらわれた娘を取り返すというもので、本のストーリーともかぶらせているようだ


次巻 『ねじまき鳥クロニクル』第二部
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