『無神論』 アンリ・アルヴォン

姉から借りている本の都合で、しばらくは海外ものを読む予定
しかし、職場の休憩で読んでいる本は別のジャンルだし、こういう専門書は別腹で読む
結局、ブログ的には乱読状態が続きそう(苦笑)

無神論 (文庫クセジュ 474)無神論 (文庫クセジュ 474)
(1970/07)
アンリ・アルヴォン

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現代思想につらなるヨーロッパの無神論を古代ギリシャから概観する新書
無神論というと、マルキシズムやらの唯物論からの全否定とイメージしがちだが、思想史的にはいろいろな段階がある
古代ギリシャの無神論は人間の関わらない不死の世界に押し込めているし、近代前期の無神論も多くはキリスト教のような神を否定することに留まる。近代までの無神論は、キリスト教との戦いに明け暮れて終わっているのだ
完全な無神論は、ニーチェ以降マルキシズムの誕生を待つことになる
ルネサンス、近代の項に入ると、対キリスト教との思想的闘争となり「はにゃ~」と“はに丸くん”状態(笑)となったが、古代ギリシャ、ニーチェ、実存主義あたりはわりあい読みやすい
無神論以外のことにも触れているので、唯物論を中心としたヨーロッパ思想の通史としても悪くないかも

本書のなかで最も光彩を放っているのは、ギリシャの思想家エピクロスである
原子論の創始者デモクリトスの最も忠実な弟子であった彼は、原子の運動する理由を神々ではなく“自発性”に置き換えて、自然法則から神の介入を排除したのだ
彼はこうした神なき世界観から、エピクロス主義という道徳観を生み出した。この影響は、遠くルネサンス、啓蒙主義の時代にも届き、無神論者の多くはエピクロスの弟子を称するのだ

フランスの逐語訳、思想ものということで、勿体ぶった表現も多く読みにくいところも多い
しかし、基本的なことをサラッと解説してくれるので、前提となる知識はそれほど必要とはならないのは良かった
と言っても、圧倒的教養の前に立ち尽くし、読後の感想も出てこないのだが(笑)
クセジュ文庫、著者もフランス人なわけで、思想的には実存主義に近い。ニーチェに、結局ナチスの誘因になっただけやん、という辛口の評価を下して終わっている
日本で1970年発行ということは、向こうでは1960年代発行だろう。その時代に実存主義者が書いた思想史なのだということを断っておこう


本筋もさることながら、脇の話も面白い
啓蒙主義の大家ヴォルテールがこんな小説を書いていた

・・・『ミクロメガ』という哲学的物語においては、けたはずれに巨大な釣り合いをもったシリウス星の一住人が土星に赴いて彼に比べると小人に見える一人の住人に出会う。彼らはいっしょに旅行することになり、その道中で、偶然、≪人間≫と呼ばれる微小な存在を拾う。人間たちは言語をもっていて、不思議な知性を意のままに用いる。彼らはとりわけ≪魂≫をもっていることを重んずる。彼らのうちの一人、トマス主義者は被造物は全部、人間のためにつくられたのだと断言するほどであるが、この主張を聞いて、わが旅行者たちは笑い出して止まらない。証明はできた。人間の常軌を逸した傲慢さはその限りない矮小さとあまりにも調和がとれないのである。

当時の物理学から人間中心に創造物を見るキリスト教を批判したものだが、これってもうSFじゃないの(驚
SFの起源は、どのへんにあるんですかねえ
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