『大英帝国』 長島伸一

子供のころ、ゴルフの全英オープンを「ダイエーオープン」とよく間違って呼んでいた
あの頃のダイエーの勢いは凄かったなあ(なんのこっちゃ

大英帝国 (講談社現代新書)大英帝国 (講談社現代新書)
(1989/02/15)
長島 伸一

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ヴィクトリア朝全盛期を中心に、グレートブリテンの社会を政治・経済・文化の各方面から検討した新書
大英帝国は、文明の最先端を謳歌した帝国として、また世界中に植民地を作った帝国主義、産業革命で格差が拡大した結果の貧困問題など、部分から拡大してバイアスのかかった読み方をなされやすい対象だが、本書では帝国内の様々な動きがあったことを踏まえて、相対的に当時の英国民の実像を描こうとしている
統計だけでなく同時代の小説や日記も取り上げ、当時の人々が持った社会に対する実感を伝えてくれるのだ
大英帝国は「二つの国民」という言葉があるように、確かに階級社会であり格差社会だった
しかし、産業革命が進展するなか、技術革新と自由貿易によって下層の労働者が低いコストで暮らせるようになり、ヴィクトリア朝後期には余暇を楽しむ中間層が7割まで拡大したのだ
残り3割は貧困層だったのは事実だったが、彼らにも徐々に政府による救済策が講じられ、後の「ゆりかごから墓場まで」と言われる高祉政策の端緒となったのもこの時代だった
もちろん、産業革命が植民地の犠牲の上に成り立っていたのも事実で、本書では「ジャックと豆の木」の逸話から当時の英国民が帝国主義に肯定的だったことも指摘している

様々な小説や証言が取り上げられいるが、前半多いのは意外にもナイチンゲール
日本ではクリミア戦争の看護婦として見られているのみだが、彼女はイギリスでは紙幣の顔になっているほどの存在で、その著作は数多く当時の社会的影響力もかなりのものがあった。著者は、日本でいえば夏目漱石に匹敵するとしている
彼女が面白いのは、女性の社会進出の先駆的存在ながら、男女同権論者には同調せず「女性の家庭内の地位」に着目しているところ。きわめて現実主義でかつ保守的な見識の持ち主なのだ
その一方で、上流階級の習慣を「現代医学から見て不潔」だと断じたり、と各方面で妥協なき評論を行っている。こういう無双ぶりを見ると、福沢諭吉と喩えてもおかしくないかもしれない
後半でユニークなのが科学共産主義の生みの親である、マルクスとその一家の生活ぶり
エンゲルスから無償の援助を受けながらも、どこにその金を使ったのか、庶民ばりの生活を送っているのが笑える。中流階級の年収と同程度の資金を貰っているはずなのになあ(笑)

自分も底辺労働者だから、当時の下層労働者の生活とついつい比較してしまう
イギリスの産業革命期は貧富の差が拡大したが、鉄道や船舶、科学の発達で外国から安価な農作物が入り、旅行に出るコストも大幅に低下したので、賃金は伸びずとも労働者は多少とも豊かさを実感できた
今の日本でも、円高が常態化して安い商品が買えるという部分では同じだ
しかし、海外で作っちゃうから雇用面ではマイナスが大きい。さらに将来への期待感が、大きく異なっている
せめて社会保障だけでも整理しておかないと、精神的に保たない。追い込まれている人間の財布はまず開かないし、消費も伸びようがない
せっかく保険付きの仕事についても、保険料が抜かれて貯金ができないでござるというのは洒落にならないよ
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