『1Q84』 BOOK2 村上春樹

ヤマザキの「冷やして食べるクリームパン」を買ってみた
冷やして袋を開けると、生地が袋に引付くほど粘っこい
見かけはパンというより、肉まんだあ

1Q84 BOOK 21Q84 BOOK 2
(2009/05/29)
村上 春樹

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天悟の周囲から親しい者が次々と姿を消す。まず「空気さなぎ」で新人賞をとったふかえりが行方不明となり、不倫相手のガールフレンド安田恭子が「行こうとしても行けない」状態になり、編集者小松は音信不通となった。極度の孤独に陥った天悟は、認知症となった父と会い過去と向き合おうとする。天悟と同じように、親しい者を失った青豆は、「さきがけ」のリーダーと対峙した。リーダーの提案に対し、青豆の決断は・・・

思っていたよりも、“文学”の度合いが強かった。一巻の序盤のような遊びはなりを潜め、天悟や青豆の心の動きを追うことに集中している。驚くべき生真面目さでブンガクしているのだ
その分「さきがけ」というカルト教団を真っ正面から批判するような社会小説の要素はなく、むしろカルトを生み出す世の中に対し作家はどう行動するのかというのが主題なのである。それは作者本人が直面した問題そのままだろう
「80年代」や「オウム真理教」といった具体的な切り込みはないので、期待した人は大きく肩透かしされた気になるだろう
しかし、作者としては年代や特定の事件を越えて、現在、未来に到る長い射程を意識したものであり、具体性のなさにこそ普遍性を込めている。「1Q84」と銘打ちながら、なんら80年代を感じさせない作品世界はそのためだったのである

さて、「リトル・ピープル」とはなんなのか
「さきがけ」のリーダーいわく「昔から、人類とともにいた存在」であり、天悟たちに直に危害を与える者ではないものの、強い力を持っているらしい
いやはやさっぱりであるが、天悟の受け止め方から推測すると、物理的というより精神的な存在に近く、ユングの集団的無意識みたいなものを通して人に影響を与えていると思われる
青豆の友人が殺された事件がリトル・ピープルの仕業とされるのも、そういう絡みなのだろう
もっとも「リトル・ピープル」の正体にこだわる必要はないのかもしれない
『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』“やみくろ”と同様に、作者があえて曖昧にしておきたいから、「リトル・ピープル」という名を与えて宙に浮かしているとも考えられる
とりあえず、“社会の裏側から噴き出した自然の諸力”としておこう

10’8/12 追記
3巻でカール・ユングの話が出てきた。やはり村上作品はユングの心理学に少なからず影響を受けているようだ


ただ、「リトル・ピープル」の働きが社会に忌まわしい事件を起こしているのは確かで、その根源は「さきがけ」のリーダーだ
これに対して、ふかえりと天悟の書いた小説「空気さなぎ」は、そうした「リトル・ピープル」に対するワクチンと呼べる存在らしい
2巻でふかえりと天悟は、リーダーが「リトル・ピープル」を生み出した時の儀式を反復することになる。ふかえりは“レシヴァ=知覚する者”であり、天悟とリーダーは“レシヴァ=受け入れる者”の役割を負う
とすると、リーダーと天悟の違いはどこにあるというのだろう
分かりやすく言えば行動の違い、リーダーは狭い領域でカルトを作り天悟は世間に公表する小説を発表したことだろう。いわば、「リトル・ピープル」を隠蔽するのではなく、世間に知らせることで多くの人間に問題を共有させようとしたところ
少なくともここに見て取れるのは、文学者としての姿勢である。いわく文学者の義務とは、ふかえりに象徴される触媒から得た事象を狭い範囲に語るのではなく、広く一般に語り続けることにある
丸2巻目かけて綴られたのは、今に対する作家としての施政方針演説であるといえるのだ(今さら、と言えないこともないが)

さて「リトル・ピープル」の罠にかからないための対処法とはなんなのか
作中の青豆や天悟が狂わなかったのは、10歳の時に味わった青い思い出を持ち続けていたからである。ほんのちょっとしたことでもいい。人肌の優しさを持つ記憶は、人を数十年腐らずに保たせることができる
あの乾いた出だしから、まさか、こんなセンチメンタルな結論にたどり着こうとは思わなかった。従来の村上作品とは違い、非常に人情味が溢れ熱い作品だったのだ



とまるでシリーズが終わったように書いてしまったが、・・・まだ3巻目があるんだな
変などんでん返しがなきゃいいが

次巻 『1Q84』BOOK3
前巻 『1Q84』BOOK1
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