『ロシア 闇と魂の国家』 亀山郁夫 佐藤優

亀山訳は読んでいない

ロシア闇と魂の国家 (文春新書 623)ロシア闇と魂の国家 (文春新書 623)
(2008/04/17)
亀山 郁夫佐藤 優

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『カラマーゾフ兄弟』の新訳で話題となった亀山郁夫と“外務省のラスプーチン”佐藤優のロシア対談
亀山専門の文学ネタが中心も話はあちこちに飛ぶ。おかげで話のジャンルこそは幅広くなっても、議論が深まらない
原因は亀山氏の自分語りだ。自分とロシア文学に関わり合いに始まって、ロシアやドフトエフスキーの解釈などをこれでもかとぶつけていく。要はしゃべらないでいいことまでしゃべりすぎなのだ
ソヴィエト時代のロシアを知る佐藤氏がそれを手当たり次第、補足・訂正を加えていくといった風情なのだ
亀山氏のロシア観というのは、それまで書かれてきた文学や評論から作られたもので、「ロシアは特別なのだ」という先入観ありき。何でも特別視しすぎて、勝手にロシアの闇を作っているかのようだった
日本人ならアジアから見たロシア像を提示して欲しい
対する佐藤優はロシアネタに関してはさすがにガチ。各分野に鋭い洞察を示している

読みにくい対談だが、亀山氏の新訳への熱意は本物だ

亀山 ・・・批判されてもいい。批判を恐れたら、学問に進歩は生まれないでしょう。それは、文学にしたって同じことです。だれかが仮説を立てなければ、学問はたんなる訓詁学にすぎなくなる。文学というのは、鉄筋コンクリートのビルである必要なんてぜんぜんないんですよ。逆に硬直したものほど、もろいんですよ。ソ連時代の文芸学がそうです。なぜなら、そこに働いているのは、一元的なショックに対する自己防衛でしかありませんからね。文学というのは、あるいは文学の想像力というのは、ものすごい揺れを含んだ軟体動物なんですよ。作家の頭のなかをのぞいてみるといいんです。彼らは信念でプロットを組み立てているわけではない。信念が表に出てきたら、小説が死んでしまいます極限のあいまいさを追求するのが文学なんです。そして、学問は、そのあいまいな地盤に両足をかけて、なおかつ決断することなんです。(p39)

こうまで言われたら買わざるえまい
両氏に共通するのは、スターリンとプーチンを肯定的なこと
もちろん、全面的に肯定するというわけではないが、ロシア的幸福を守ったこと、守ろうとしたことを評価している
いわく、ロシアにはロシア的基準があって、それは平等に貧しいこと。佐藤氏はソ連をインテリにはストレスが溜まる体制だったが、庶民には悪くなかったという
『カラマーゾフ兄弟』「大審問官」の解釈でも、キリストがキスしたことから大審問官のやり方をドフトエフスキーは認めているとして、話は進む

佐藤 私はほんものの政治とは、大審問官の道だと思うのです。ときには暴力を行使してでも、人類が生き残ることができるようにするために、自らの優しさを殺すことができる人間がほんものの政治家なのです。愛と平和を実現するために、常に人々を騙し続けるのが政治家の業なのです。・・・(中略)・・・ただし、これらの政治家は、そのため自分の魂は地獄に堕ちることになる。政治家にはその覚悟をもってもらわなくてはなりません。
亀山 一種の自己犠牲の上に成り立った最大幸福のための決断とでもいうのでしょうか。・・・(p225-226)

佐藤氏の場合は、政治的な提言のために「大審問官」の文脈を使っているから、この人の話を真に受けすぎてもいけないが(大審問官な政治家の例に、森、橋本が入っている!小渕は分かるとしても)

全体的には噛み合わない対談
驚いたのは、亀山氏が「ロシア的なものは独ソ戦で死んだ」と後半になって言い出したこと
それじゃ、今までの対談はなんだったんだ(笑)。今日まで続く「ロシア的なもの」を話していたんじゃないのか。佐藤氏は連綿と続く「ロシア的なもの」のつもりで話したはずだぞ
あまりに壮絶なハシゴの外し方に笑ってしまった
ただそれぞれの議論としては、聞いたことのない固有名詞が次々と飛び交うも、意外なモノの見方も提示していて刺激的だった
亀山郁夫って人は面白いねえ
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