『信長の親衛隊』 谷口克広

興味が戦国時代に移って、アレント読みが進んでいない・・・

信長の親衛隊―戦国覇者の多彩な人材 (中公新書)信長の親衛隊―戦国覇者の多彩な人材 (中公新書)
(1998/12)
谷口 克広

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信長の躍進の裏には、多士済々の側近たちがいた
長らく右筆(書記係)を務めた武井夕庵、堺の代官となる松井友閑、『センゴク』にも出ている堀秀政、京都所司代を任された村井貞勝・・・大河ドラマにも出てくる前田利家丹羽長秀池田恒興もまた小姓から大名に登りつめた
この本の面白いのはこうした出世した面子だけでなく、歴史の影に埋もれた男達にもスポットを当てているところ
力士から奉行衆となった青地与右衛門(『戦国無双2』では突忍として登場!)や、秀吉ばりの出世頭も非業の死を遂げる塙直政(原田直政)、東国から流れてきた天下一の馬術家屋代勝介などなど・・・マニアックなゲームなどでかろうじて目にする彼らにこんな逸話があったとは・・・
彼らの登場する史料はそう多くない。信憑性が薄いとされる文書もある。それでも、著者はあくまで彼らの輪郭を追うべく、大胆に斬り込み想像する
それは学者というより作家的な探求心であり、正確さをさておくも彼らの生きた姿を描くことに成功していた
これこそ、戦国ファンにとって垂涎の書ではないか

取上げられるのは“親衛隊”でも、主役はやはり“信長”だ
まず目立つのは、その派手な戦い方
織田の家督を決する稲生の戦いでは倍する敵に立ち向かい、自ら林美作を討ち取る。桶狭間では家臣をおいて側近だけで進発し、天正4年(1576年)の石山本願寺の蜂起に際してはわずか100騎を連れて急行した
驚くべきは天正元年(1573年)の朝倉追撃戦だ。渋る諸将を尻目に二千の兵で一万人以上の朝倉軍を追撃、この一戦で朝倉滅亡を決めてしまった
いやはやリアル戦国無双(笑)というか、マヴァール戦記というか・・・
こうした機動戦を支えたのが子飼いの馬廻、小姓衆で、著者は桶狭間の勝因を彼らの戦闘力と陣頭に立つ信長のスタイルがもたらしたものとしている

小姓として一番有名なのは、なんといっても森蘭丸だろう
ところが、この蘭丸こと森成利当時の一次史料で“蘭丸”という呼称は出てこないそうだ
多くの史料は「」「御乱」と表記。「らんまる」という通称は正しくても、“”という漢字は美少年のイメージから江戸に入ってつけられたようだ
大河ドラマだと信長の奏者として偉そうにしているが、その行動範囲は原則的に信長近辺。側用人的な存在ではなくて、あくまで優秀の近習の一人にすぎないようだ
それでも抜擢のされ方は尋常ではない

 森乱の名が良質の史料に最初に現れるのは、天正七年(1579年)4月18日、摂津の塩河長満に褒賞を与える使として派遣されたという『信長公記』の記事である。この時は馬廻の中西権兵衛が一緒だったが、乱が正使で権兵衛が副使だったようである
 ところで『森家先代実録』によると、「蘭丸」の信長出仕は天正七年4月上旬だという。それが本当だとすると、信長は仕えたばかりの少年にすぐに大役を任せた、ということになる。・・・(p164-165)

前任者の万見仙千代しかり、大先輩(!)前田利家しかり、好みだけで選ぶ信長ではない。能力主義ここに極まれりだろう

国持ち大名として取り立てられず、近習として信長の許に残った者たちはほとんど本能寺の変で討ち死にする
わずかな生き残りは豊臣政権への変り目にフェードアウトし、堀秀政長谷川秀一だけが大名として残った
信長の親衛隊は主人の死とともに歴史の闇に消えたのだ

それほど分厚い新書ではないが、簡潔かつ読みやすい文章でページ数以上に内容は濃い
なにより戦国時代を生きた人々に対するがある。著者の姿勢には好感をもったね
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