『情報、官邸に達せず』 麻生幾

日本の“ダイス”はあるのか

情報、官邸に達せず (新潮文庫)情報、官邸に達せず (新潮文庫)
(2001/07)
麻生 幾

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湾岸戦争に始まって阪神・淡路大震災金正男密入国事件JCO放射線事故までの大事件で政府はいかなる対応がなされたかをまとめ、危機管理体制の実態を告発したドキュメント
それぞれの件で見えてくるのは、現場から官邸に伝わる情報スピードの遅さ。阪神大震災では、主要閣僚がテレビで震災の様子を確認するという状況・・・
さすがに震災に関しては改善されているのだろうが、冒頭の金正男の件などを読むと官邸と行政機関の意思疎通が正されたかはなはだ疑問だ

まず著者が指摘するのは、災害に対して「危機管理」という言葉が先行する一方で、「被害管理」が省みられていないこと。危機の“予防”することに力をかける割に、実際に危機が起こった時の被害者に対する処置がおざなりにされているというのだ
JCOの事故の時には、パニック防止のために屋内避難が下された。が、実際には屋内にいては中性子被爆は防げない。行政側の都合、慣習で誤った方針が出され、場合によっては多くの犠牲者が生まれたかもしれなかった
日本の危機管理体制というのは、欧米に比べ周回遅れ状態のようだ(「また欧米か」という問題で済まされない!)

こうした鈍重な体制をもたらず原因として、浮かび上がってくるのが「縦割り行政」だ
阪神大震災の箇所を読むと、末端の職員たちはよく頑張っている。郵便局員たちが被災地に自転車やバイクで駆けずり回って情報を集めたなんて初めて聞いた。現地の自衛隊や警察も地震直後には動いている
が、こうして集めた情報も官庁同市の横の連絡がないばかりにお蔵入りしたものが少なくないという。もし、これが精査して官邸に上げられ、適切な指示がなされていたら、震災の犠牲は少なくて済んだのだ・・・
「縦割り行政」で顕著な例が外務省。自衛隊の海外派兵する際に、「対外情報の一元化」という大義名分のもと防衛省(現防衛省)に話を通さず内容を決める!
結果、派兵先は憲法のスレスレ(というか違反)の状況でかつ、現地の情勢とかけ離れた装備と権限で臨むという最悪の話になる
ルワンダのPKOでは欧米の軍隊が撤退したところ、自衛隊がその後をカバーする任務につくはめとなった。このルワンダの件は、驚くほどイラク派兵の件と酷似している
外務省としては安全保障理事国入りという悲願があるそうだが、そんな非現実的な目標のために自衛隊員を生け贄に差し出すとは度し難い。まさに害務省だ!

一応、防衛省と警察、公安調査庁に関しては案外まともに海外の情報を収集している様子だった。正直、ダイスより使えるのではないか思えるほどだ(笑)
もちろん、それを国家戦略に生かすにも「縦割り」の壁はあるのだが・・・
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