『Op.ローズダスト』(上) 福井晴敏

三巻まとめてだと長くなりそうなので、一巻ずつ

Op.(オペレーション)ローズダスト〈上〉 (文春文庫)Op.(オペレーション)ローズダスト〈上〉 (文春文庫)
(2009/02)
福井 晴敏

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う~ん、濃い!
上巻を読み終えた時に話の歩みの遅さに驚く(!)が、読んでいる途中はそれを感じさせない。それほど熱いドラマが詰まっているのだ
恒例の、うだつの上がらぬ中年とはみ出し者の青年のコンビも、だいぶ洗練されている。以前のシリーズと共通するところも多く、ダイスシリーズの集大成ともいえる出来だ
やっぱり、この作家さんは現代日本を舞台にしている方がいい

福井晴敏というとやはり「爆発」。「爆発」というと福井晴敏だ。この小説でも序盤から程よい間隔で爆発が続く
唸ったのが最初の爆発シーン。爆発される対象者水月の心理描写が続いた後、すぐ爆発するかと思いきやそこから一行空けて爆発に使用されるセムテックス火薬の説明が懇切丁寧になされ、爆発した瞬間からした後にどんな粉塵が上がってどういう影響が出るかまで書いてくれる
水月の心理描写と見事に吹っ飛ばしてくれたことに呆然とすると同時に、作者の「爆発」に対する執念には頭が下がった
どんだけ、「爆発」が好きなんだよ(笑)
上巻最後の驚異的なコンピュータウイルス増殖といい、まさに有無を言わせぬ豪腕だ

小説の背景世界は、北朝鮮拉致事件やイラク戦争など実名の出来事が言及されるものの、ジャンルとしてはリアルなポリティカル・フィクションというより、それを交えたアクション小説として見るべきだろう
ダイスの世界では地下鉄サリン事件神泉教(!)による地下爆破事件に置き換えられているように、シリーズごとの事件もまた年表として存在する。正直、あれほどの爆発事件が繰り返されれば、現代ほどは平和ボケしていないだろう(そうでもない?)
冷戦以後の世界情勢は移り変わりが早く、ネット社会で一般人に浸透するスピードも早い。小説を書いた時と出版された時ですらギャップがあるわけで、文庫本になる頃には違う情報が出て色褪せて見えてしまう
あの『沈黙の艦隊』の時ですらソ連崩壊は予測できなかった。ネット時代のポリティカル・フィクションは大変なジャンルなのだ
この『Op.ローズダスト』もゼロ年代以降を舞台にしているものの、醸し出している雰囲気は90年代だ。防衛庁(作品内では「庁」)と警察がテロリスト対策で縄張り争いするところなど、押井映画『パトレイバー2』を彷彿とさせる
では示された問題提起が、陳腐化したかというと・・・残念ながらそうではない
冷戦以後日本が引きずっている課題は山積みであり、自衛隊や警察といった組織には90年代以前の古い問題がまだ存在するしっかりした安全保障の体制が整わない限り、ダイスシリーズは不滅なのだろう
こうした問題の癌は、官庁の対立というよりそれを整理できない政治家だと思うが・・・

次巻 『Op.ローズダスト』(中)
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