第17巻は、桐島零と二階堂の勝負から。定型に囚われない零に対して、二階堂はそれを小型の猟犬“ジャックラッセル”に喩える
元気いっぱいに暴れるジャックラッセルをイメージしながら、零との青春を振り返る。白熱した終盤を経て、気がつくと病院に担ぎ込まれていたが、全力で勝負できる友人がいることの幸せに浸る
その後は、アカリさんが工事現場にスウィーツを提供するの巻
最初は三時のお菓子を届けるだけだったが、翌日にはみたらし団子の屋台を始め大盛況。他の商店街の人も巻き込んでいって、高カロリー天国を作り出してしまう!
みたらし団子が一本100円は、東京なら安いのか、高いのか。売り切れれば、利益は出るだろうか
さらにはカレーの炊き出しまでして、大ウケするという。幸せ一直線の回なのであった
後半は、獅子王挑戦者トーナメントで衝突する島田研究会の話
主役は零と戦うことになる島田開。故郷の山形に恋人を置いて将棋を選んだ半生を振りかえる
夜行バスの夢では奨励会の頃の自分、将棋に挫折した場合の自分、そして今の自分を比較するように見てしまうのだ
頂点に届かないうちに、呑気な若手に迫られているという辛い立場に思いを馳せながら、後輩から頼られ、自宅をいいように使われている現実に立ち返る
零の背中からは公私の充実ぶりを感じて、人間性の回復を悟る。「人間なら倒せる」と、何の懸念もなく勝負へと向かうのであった
あとがきでは、いよいよラストスパートという宣言も
朝ドラの最終週のように、それぞれの負の障害がなくなってしまって、良くも悪くも安心でき過ぎるのは気になるが、ちゃんとシリーズが終わってくれそうなのにはホッとした(苦笑)
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