ブラタモリで取り上げられてから、また来てみたいと思っていたのだ
ただし、入場料は2000円と高い! 元をとらねば見て回る
東寺は8世紀末に、平安京を鎮護する寺院として建立され、正門の羅城門を挟んで西寺も存在した
その後、嵯峨天皇から弘法大師・空海に下賜され、国家鎮護の役割とともに、真言密教の根本道場となる
平安後期以降、戦乱のたびに衰退と復興を繰り返し、今残っている建物は、豊臣秀吉→秀吉→徳川家康→秀忠→家光と時の権力者の後援によるものなのだ
*西寺の跡は、公園として残されている。グーグルマップでみると、この間に羅城門があったと分かる
1.講堂
仏像の撮影は、許されないわけでありまして
写真は地味になります

「講堂」には、巨大な大日如来を中心に21体の仏像が配置されている。創立当時(つまり平安時代)からの仏像も多く残り、その佇まいには圧倒される
ただ、曼荼羅の配置を意識しているので、正面から後列のものを見にくい!
見世物ではないので、致し方なしだが
この荘厳な諸仏を弘法大師の教えを表現した「立体曼荼羅」と呼ぶ
ただし、その教理については長らく論争があり、少なくとも空海の時代の考え方ではないとか
2.金堂
東寺のなかでも、もっとも古い建物という「金堂」
金堂にも3体の仏像がある

薬師如来を挟んで、日光菩薩、月光菩薩を両側に配置されている
薬師如来の台座の周囲を1面に3体ずつ、3✕4の十二神将が並べられている
「奥側の神将が見られない」との声に答え、神将だけを違う場所へもっていって、十二神将すべてを拝見できるようにしたこともあったそうだ
3.五重塔
東寺を代表するといえば、この「五重塔」

木造塔としては、日本でもっとも高い54.8メートルを誇り、ブラタモリで触れられていたように、平安京のランドマークとしての役割を担っていた
かつての京都の玄関口であり、現在の玄関口である京都駅に近いのも、地勢のよるものなのだろう

一階が今は公開されていて、心柱の周囲に置かれた仏像を拝むことができた
仏像もさることながら、周囲の壁や柱、天井にもかすれているとはいえ、弘法大師やその師匠たちの姿や花が描かれ、往時の華やかさを想像させられる
五重塔は心柱とは別に各階の建造物が乗せられており、地震で揺れたとき、階ごと浮き上がっても、心柱で衝撃を吸収する。建築学でいう「柔構造」となっているとか
もっとも、火事には敵わないので、現在の五重塔は江戸時代、家光の代に寄進されたものだ
4.灌頂院
「灌頂院」は、師匠から弟子に奥義を伝える儀式、修法を行う場所

重要文化財だけど、外は地味、中に仏像があるわけでもない
しかし、中では壁に僧の絵が残っていて、アーティスト・小松美羽による作品「ネクストマンダラ」が掲げられていた
仏といより、ヒンドゥーの神々というか、宇宙から飛来したクトゥルフ感がある
5.小子坊
南北朝時代に、戦乱が収まるまで光厳天皇が政務を執ったされる「小子坊」

今は公開されていないが、皇族をお迎えする際に使われる特別な建物で、6つの部屋に、戦前に再建されたときに作庭された「澄心園」、国宝の「蓮花門」がある

よく見ると、モダンな作りなのだ
6.宝物館
京都屈指の進学校、洛南高校の裏手に、宝物館はある

1階は、お寺に関わる古文書や、発掘された鬼瓦など
2階には、寺院に寄進されていた宝物に、国宝の「両界曼荼羅図」が10月21日まで公開されており、宇宙は仏で満ちているという密教の世界を味わえた
ちなみに、10月22日から11月25日までは、国宝「弘法大師尺牘」(空海直筆の手紙)が公開されるとか
7.観智院
北大門から出た洛南高校の向かい側に、南北朝時代に後宇多法皇の発願により建立された「観智院」がある

弟子が師の遺徳を募う「塔頭(たっちゅう)」として創建されたが、法皇との関わりからか別格の「本山」と見なされている


庭園からは五重塔も見える
どこから見ても、正面になる「四方正面の庭」なるものも
茶室がいくつか用意されていて、ある部屋には若き日の宮本武蔵が書いたという「鷲の図」「竹の図」が、かすれながらも残されている。武術のみならず、筆のほうもかなりの腕だったことが分かる
とはいえ、無事に残っている部分は少ないので、巨大なスクリーンで在りし日の襖絵を再現されていた。全体像が分かるなら、復元が待たれるところだ
*吉岡一門との決闘の後に宮本武蔵が逃れたとされているが、そもそも実際に吉岡一門と実戦で立ち会ったのか、さだかでないので、誰が書いたかはなんともいえない
8.食堂
なんで、「食堂が拝観スポットに!」と思ったら、「食堂」と書いて、“じきどう“と読むのであった(笑)
もっとも、僧侶が生活のなかで修行するという、生活空間ではあるので意味合いとして間違ってはいない
光厳天皇が「小子坊」で政務を執っている際、それを支える足利尊氏は、ここで居住したという

中には、千手観世音菩薩の本尊に、国内最大級という四天王像が安置されている
今は土門拳の写真展も行われていて、1964年に『古寺巡礼』のために撮影した写真、また撮影の様子もいくつも展示されている
当然のことながら、一般の人間に撮影は許されないので、土門拳の作品は非常に貴重なのだ。古刹のなかでも、東寺をかなり気に入ったらしく、特別に『大師のみてら 東寺』という写真集も出している
すべて回ってみれば、2000円の拝観料も高くは思えないボリュームなのであった
当然、時間はかかるので、イオン・モールで買い物のついでというわけには行かない。拝観するなら、それをメインに予定を立てるべきでありましょう