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【映画】『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』(2023)

残暑に怪談


第二次世界大戦の後、ポアロ(=ケネス・ブラナー)は、ヴェネツィアで隠遁生活を送っていた。つきまとう依頼人を追い払うべく、元警官ポルトフォリオ(=リッカルド・スカマルチョ)を雇っていたが、ミステリー作家アリアドニ・オリヴァ(=ティナ・フェイ)をそれをかいくぐってやってきた。近年、ヒット作に恵まれない彼女は、元オペラ歌手のロウィーナ(=ケリー・ライリー)の邸宅で行われる降霊術に招待するが……

原作は『ハロウィーン・パーティ』だが、だいぶ改変されているようだ
序盤は街全体も仮装行列で盛り上がっていて、孤児院の子供たちもロウィーナの屋敷でお祭り騒ぎとなる。元々、仮面舞踏会や仮装行列のカーニバルはヴェネツィア名物だったりするので、アメリカが「ハロウィーンをもちこんだ」という言い方が正しいかは分からない
小説がハロウィーンにちなんだ童話調の作風らしい一方、本作はタイトルのある通り、かつてペストで隔離されて多くの子供が命を落としたという孤児院跡を舞台に、娘の死は亡霊の仕業かそれとも……というモダンホラーとなっているのだ
ロウィーナがなんで、わざわざそんな場所を家にしたかまでは、最後の最後まで分からなんだが(苦笑)

降霊術を行うのが、邪悪とさえ言われる霊能者レイノルズ(=ミシェル・ヨー)
その胡散臭さは『TRICK』を思い起こさせるのだが(笑)、彼女も元は従軍看護婦で様々な死を見てきた。ポアロは弱者を食い物にしていると断じるが、死者の声を伝えて生者を癒やす役目があると動じない
ポアロが世界大戦を前に探偵を引退し、ロウィーナが娘の死から歌えなくなり、医者フィリエ(=ジェイミー・ドーナン)が従軍中に強制収容所を開放し、その惨劇を目撃したことがトラウマになったりと、登場人物のほとんどが暗い過去を背負っている
事件の謎を解くポアロも、期せずして霊能者の役割も果たすことになるのだ
ハリウッド映画ゆえ、アメリカ礼賛の傾向はあるものの、前作のような行き過ぎた配慮は感じず、ベネチアを舞台にした改変がうまく決まった作品でありました





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