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『100%の闘争心 全日本女子バレーの栄光、挫折、そして再生』 吉井妙子

本編とあとがきでトーンが違いすぎ



2004年アテネ五輪。2大会ぶりに出場した女子バレーの代表チームでは何が起こっていたのか。選手たちの視点から見た戦いの軌跡を描くノンフィクション

著者はF1に始まって、オリンピック競技を中心にスピードスケート、野球、女子バレーなどを取材するフリーのスポーツ・ジャーナリスト
アスリート個人に肉薄した著作が多く、本書もアテネ代表のリーダーだった吉原知子を中心に選手の証言をもとに構成されている
スケジュールが合わなかったのか、断られたのか柳本監督への取材はなされておらず、その結果、監督が選手に浴びせた言動や采配が生のまま載せられてしまい、首脳陣批判になってしまっている
かの「ベンチアホ事件」のように報道すること自体は正しいのかもしれないが、その後の選手と監督の関係を考えれば、一時の感情、一方の意見に流された感は否めない
著者の監督や協会に対する感情にも波があって、あとがきに入るとずいぶんと落ち着いた分析が入っているので、最初から書き直しても良かったのでは思える内容だ

著者の思い入れで歪みはあるものの、監督と選手の関係にジェネレーション・ギャップは隠せない
柳本監督東洋紡オーキスで初めて女子バレーの監督となるが、男子バレー流の指導が災いし、部員24人中20人が辞めるという事態を引き起こしている
そこから認識を改め、監督2年目で∨リーグ優勝に導くが、怪我で苦しむ選手に対して、他の選手の名前を出して煽るなど、決めつけた態度で接しているように見える
若手は多いものの、完成度の高い選手が集まる代表チームの監督は柳本にとっても未経験で、試行錯誤したままアテネ五輪へ突入したと思われる
吉原知子を中心に自立し、成長していった選手たちに対して、ついていけなくなったような印象なのだ
まあ、この偏向気味のルポを読んでの感想であるが(苦笑)

本書はメダルを意識した選手やファンの空気に押されて、なぜメダルに届かなかったか、という論点をとってしまっているが、冷静に考えるとオリンピック5位という結果は妥当にも思える
2003年11月のワールドカップで5位オリンピックの最終予選通過後の戦いでテストしたとはいえ惨敗しているので、そこから巻き返したのは健闘といってもいい
そもそも最終予選通過後は、復活したバレー人気にあやかって試合がゴールデンタイムに中継され、柳本監督のドキュメントが撮られるなど環境が一変していて、チームの調子が狂った一因はここにありそうだ

飛行機の便がエコノミークラスで体が硬くなったことは、予算のないマイナースポーツではあるあるであり、女子バレーのアメリカ代表も同様の環境だったらしい
チームのトレーナーが手続きミスで選手村に入れないなど、五輪を遠ざかったゆえのミスも多く、協会も著者も認めるように、8年間の空白」を埋めるだけで大変だったのだ
松坂大輔のトレーナーが急遽、女子バレー選手を治療するなど、競技を越えた横の関係も描かれ、アスリートたちの素顔が映すものには違いない
取材対象へのめり込みを割り引いても、面白いルポだった





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